ツイステ×ぐだ子

□でも、もない
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《否定し続ける》



―星を集めるがいい。
人間の悪性、どのような闇にも負けぬ輝く星を―

空を駆ける光に、彼の王の言葉が過る。
人の身で神霊にまで至った彼女の声、眼差しが昨日の事のように蘇ったのだ。
絶え間無く降り注ぐ光は、正に流星。
文字通り蹴散らされた雲は跡形もなく、夜空を照らすそれらは本当に見事だ。
小さい光も大きな光も、どれもが欠けてはいけない。
全部があって、全部があるからこその光景。
その様が、どうしようもなく嬉しかった。
人とは、世界とは、こんなに、きれいで――。
そう。
人は、世界は、こんなにも、きれいなのに…
考えが、飛ぶ。
あぁ。
息が、吐けない。
あぁ…
視界が、歪む。
あぁっ!
身の内で静止の声が反響する。
だめだ、考えるな、思うな。


「り、つか?」


抵抗虚しく考え思ってしまったものと、呼ぶ声は重なった。
大丈夫だと、言わなければ。
なんでもないと…なんでもないのだから。
だって、これは、これは私、の、独り善がりなのだ。
下を――声に応えたのが、いけなかった。
きれいな青い炎を見たのが、いけなかった。
見開いた瞳は今の夜空を映したかのようで…眩しすぎる。
胸を突き上げるものに負けじと力んでいた目から、僅かに隙が出来た。
ぽろ。
零れたのは一粒。
いつもだったら、止められた。
いつもだったら、笑えた、のに。
思ってしまったものが、ぐるぐると回って、頭が真っ白になる。

人も世界も、こんなにきれいなのに、きれいだから…
私、わたしは、…





《否定し続ける》
終わり
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