ツイステ×ぐだ子

□異を
1ページ/5ページ






《なにもできない、から》




最近キライなものが増えた。
そもそもオレ様にはココに来る前の事がよく分からなかったりするから、"最近"しかないのだけど。
授業がイヤだ。
勉強がイヤだ。
宿題がイヤだ。
じっとしてるのがイヤだ。
腹が減るのがイヤだ。
ガマンしなきゃいけないのがイヤだ。
………夜が、イヤだ。


「、ぅ…」


真っ暗な世界が震える。
小さな声だ。
小さすぎて、気のせいとも思える程の音。
あぁ、今日はダメだったのか。
閉じている目が乾いたようにひりひりする。
だって、目を開けたら、イヤなものがあるのだ。
夜がイヤな、その理由。
イヤなら見なければいいのだ。
知らぬフリをすればいいのだ。
バカでも分かる。
それなのに…


「…リツカ」


瞼を上げると、思った通りのイヤなものが映る。
ぼんやりと明るく照らされている部屋は、少しずつ少しずつ二人で掃除をして修理をして。
やっとキレイになった寝床だ。
当たり前に隣で寝ている子分の、その名前を呼ぶ。
……違う。
これが寝ている者の、休んでいる者の顔だろうか。
閉じた目は何かに耐えるように力が入って。
息苦しそうに肩が上下する。
零れる声は、必死に、何かに、謝っている。


「ごめ、…た、すけ…ら、…な、…っ」


消えてしまいそうなその声に体が上手く動かせない。
目の奥に火が入れられたように熱い。
熱くて、目が開けていられない。
何度か瞬きをしたら、目の前がぼやけていった。
くるしい…
くるしくて、くるしくて、どうにかしたいのに、どうしたらいいのか、わからない。
でも、どうにか、したい。
だって、たすけて、ほしいのは、コイツなんだ。
それなのに。
伸ばしてもくれないその手にすり寄る事しか出来なかった――――。





《なにもできない、から》
終わり
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ