Sdream

□好きだけ
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突然の親の転勤。

家族みんなで引っ越すことになった。



今日であなたともお別れ…



遠く離れたら、あなたは私を忘れちゃうのかな…

私はあなたを忘れられるのかな…










『好き』だけ










お別れの日、クラスのみんなが駅まで見送りに来てくれた。

女友達と話をしながら、バレないように…こっそりとあなたを見つめてた。



もう、見ることもないだろう、あなたを目に焼き付ける為。



忘れたいのに、忘れたくない。

矛盾してるけど、どうしようもないくらいあなたが好き。



好き…



「元気でな」

「‥‥‥うん、真田くんもね!」

「ああ‥‥」



あなたには『好き』だけでも伝えたかった…



「テニス、頑張ってね!!全国行ってね!」

「当然だ」

「うん、全国‥っ、応援しに行く…」

「‥‥ああ」



真田くんが手を伸ばす。

私はその手を握った。



さよならの握手。



丁度、そのとき電車がホームに停車した。

その電車に乗る為、私たちは手を離す。



「さよなら…」

「ああ」



私は電車に乗ってみんなに手を振った。

けど、真田くんだけは見れなかった。

手に残った温もりも、だんだんと消えてゆく。



結局、伝えようともしなかった言葉…――



「好き。」



誰にも聞こえない声。



真田くんの姿が窓から見えなくなってゆく…



ガラス越しに呟いた。



「好き‥、好き‥‥っ」



その声は、もう決して届かない――。



遠く離れていたら、あなたは私を忘れちゃうのかな…

私は、きっと‥、あなたを忘れられない…



遠く離れても残るから…



あなたが好きってこの気持ちだけは…












fin.

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