03/31の日記

21:32
なぜリンゴを食べないのか?

---------------



こんばんは。。






ジョバンニとカムパネルラは、“銀河鉄道”の列車の中でもらったリンゴを、食べないでポケットにしまいます。

ふたりは、なぜ食べないのか?




↑このテーマでBL妄想を展り広げてみたいと、まえから思っていたので‥‥、ちょっとやってみます‥








まず、“リンゴ”は、何を意味するのか? ‥何のたとえ、あるいは象徴なのか?

ここでは、世界中の伝説・ファンタジーを調べまくるつもりはありませんからw、ごく常識的な、よく識られたメタファーを2つだけ、とりあげたいと思います:





(1) 白雪姫の魔法使いの毒リンゴ。ひとくち齧った白雪姫は眠りに就いてしまいます。つまり、仮死状態。

  王子さまがやって来てキスをすると、のどに引っかかっていたリンゴのかけらが飛び出して、白雪姫は眠りから醒めますが、胃袋に飲み込んで消化してしまっていたとしたら、毒が回って、キスをされても目覚めないでしょう。

  ですから、リンゴはあくまで毒で、愛とは関係ありません。王子さまは、たまたま通りかかったのであって、リンゴが呼び寄せたわけではありませんw




(2) アダムとイブのリンゴ。知恵の象徴、あるいは性愛の象徴とされます。リンゴを食べると、知恵と性欲が生じるのであって、食べなければ生じません(たぶん)。知恵と性欲を獲得することは、同時に、“楽園”“永遠の命”を失うことでもあるとされます。

  “パリスの審判”の“黄金のリンゴ”も、これに近い性愛のシンボルです。パリスは、3人の女神の中から、美と愛の女神アフロディテ(ビーナス)を選んで“黄金のリンゴ”を贈り、それと交換に地上一の美女ヘレネを得ます。












つぎに、(ここでいったん、銀河鉄道の夜から離れます)一般に言って、“リンゴを食べない理由”は、幾とおりか考えられると思います:



@まずいから。

A恐ろしい、怖いから。たとえば、毒だから。あるいは、毒かもしれず恐ろしいから。

B逆に、おいしすぎる、あるいは、きれいすぎて、食べてしまうと、もったえないから。

C食べたくないのではなく、あとで食べるために、とっておく。









そこで、ジョバンニとカムパネルラのリンゴに戻りますと‥




@は、捨てていいでしょう。






Aは、 ‥他の乗客が剥いたリンゴの皮が、けむりのように消えてなくなってしまうのを見ていますから、何か不思議なもの、恐ろしそうなもの、という感じは受けていると思います。



 そこで、気になるのは、リンゴを食べている乗客たちは、船が沈没して死んだ人々‥これから“天上”の死者の世界へ向かう人々、あるいは、この“銀河世界”に住んでいる人々のようです。ジョバンニのように、地上からやってきて、しかも、死者の世界へ向かっているわけでもない‥という人はいません(カムパネルラが、どちらなのかは、微妙ですが‥)





 そういうジョバンニらが、“銀河世界”の食べ物、あるいは“天上”の食べ物を食べたら、どうなるのか?‥彼らも“銀河”の、“天上”の存在となって、地上に戻れなくなるかもしれません。。。




B.剥いたリンゴの皮が、けむりのように消えてなくなってしまうのを見たジョバンニたちは、逆に、なにか尊い、聖なる食べ物と感じたかもしれません。‥なんだか、食べるのは恐れ多い。。。


  しかし、その場合でも、やはり自分が食べない理由は、食べたらどうなるのか分からない恐ろしさでしょうから、けっきょくAと同じことになります。








ABでは、リンゴの役割のほうは、白雪姫の毒リンゴに近くなると思います。







しかし、ここでちょっと、白鳥停車場の場面を思い出してみますと、ふたりは、流れているのが水でも空気でもない不思議に透き通った媒質である銀河の流れに、手を浸しています。彼らの手は、流れに曝されると、ぼおっと光ったというのです。

この場合でも、ジョバンニらは、まったく怖気づくこともなく(怖いもの知らず?)平気で手を差し込んでいるのです (この“光る河”は、放射能に満ちた原子炉内に見えませんか?)



ですから、A・Bは、そういう感じを彼らが持ったとしても、それだから食べない──ということにはならないような気がします。




そこで、Cです。

彼らが“リンゴを食べたいのに食べない”のは、まわりに他の乗客がいるからでしょう。

あとで、ふたりだけになってから食べるために、ポケットに入れておく。(怖がって捨てたり返したりするのではなく、たいせつにポケットにしまうのです)



この場合には、リンゴの意味は、パリスの“黄金のリンゴ”、あるいはアダムとイブに近くなります。



もらったその場で食べると、カムパネルラは、まわりにいる女の子達に夢中になってしまうかもしれません。ジョバンニだって、どうなるか分かりません。

その結果は、嫉妬と争いによる“楽園喪失”。。。



そこで、彼らは、ふたりだけの繋がりを確かなものとするために、リンゴをポケットにしまうのです。








これは、同性愛であって、禁欲ではありません!

(あとで、ふたりでどうやってリンゴを食べるのか‥‥銀河鉄道のパロディによくある座席フェラなのか、69なのか、…んんんんっなのかは‥‥‥知りませんがw)












↑その手の画像を期待した方は、ごめんなさいm(_ _)m








ばいみ〜 ミ



.
カテゴリ: 宮沢賢治

前へ|次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ