ゆらぐ蜉蝣文字


第4章 グランド電柱
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4.6.2


「彩り豊かな玉座におられる女神アフロディーテー
 策略を綯(な)うゼウスの娘御、あなたに祈ります:
 悲しみと苦しみで私の心を
 つぶさないでください、女神様。
   〔…〕
 たちまちここに着かれて、尊い女神よ
 不死の御顔に微笑みを浮かべ
 あなたは問いかけられた
 今度は何が起こったのか、何故呼ぶのかと。

 憑かれた心の私が、何をして欲しいと、そんなに望むのかと。
『今度は誰なのサッフォー
 お前を恋するようにさせるのは?
 誰がお前を傷つけるの?』」
(Frr.1)(古澤ゆう子訳)

「あなたは来てくれました、わたしはあなたを求めていました
 想いに焦がれるわたしの心を冷ましてくれました。」
(Frr.48)



 
サッフォーとアリアドネ  

「『…………
  本当に死んでしまいたい』
  と乙女はすすり泣きながら
  別れにあたって私に言った
  『ああ、なんと辛いことが私たちに起こるのでしょう
  サッフォー、あなたから離れたくない』

  彼女に答えて私は言った
  『喜びをもって行きなさい、そして私のことを思い出しなさい
  私たちがどんなに結ばれていたか知っているでしょう

  知らないの、それなら
  思い出させてあげましょう
  私たちがどんなに美しいことを共にしたか
    〔…〕
  たくさんの没薬を
  高価な香油を……
  なめらかな肌にすりこんで

  やわらかい床に横になり
  憧れを…………
  …………

  どんな踊りもどんな祭りも
  どんな………
  私たちが共にしなかったものはない
    〔…〕』」
(Frr.94)(古澤ゆう子訳)

「あなたはわが友なれど、
 より若き女を妻にしたまえ。
 われ歳もまされば
 夫婦たるに堪ええねば。」
(Frr.121)

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