『心象スケッチ 春と修羅』
□グランド電柱
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楢と掬ぶなとのうれひをあつめ
蛇紋じやもん山地に篝かがりをかかげ
ひのきの髪をうちゆすり
まるめろの匂のそらに
あたらしい星雲を燃せ
dah-dah-sko-dah-dah
肌膚きふを腐植と土にけづらせ
筋骨はつめたい炭酸に粗あらび
月月つきづきに日光と風とを焦慮し
敬虔に年を累かさねた師父しふたちよ
こんや銀河と森とのまつり
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准じゆん平原の天末てんまつ線に
さらにも強く鼓を鳴らし
うす月の雲をどよませ
Ho! Ho! Ho!
むかし達谷たつたの惡路王あくろわう
まつくらくらの二里の洞ほら
わたるは夢と黒夜神こくやじん
首は刻まれ漬けられ
アンドロメダもかヾりにゆすれ
青い仮面めんこのこけおどし
太刀を浴びてはいつぷかぷ
夜風の底の蜘蛛おどり
胃袋はいてぎつたぎた