『心象スケッチ 春と修羅』

□無聲慟哭
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 《おヽ 俊夫てどつちの俊夫》
 《川村》
やつぱりさうだ
月光は柏のむれをうきたたせ
かしははいちめんさらさらと鳴る



白い鳥


 《みんなサラーブレツトだ
  あヽいふ馬 誰行つても押へるにいがべが》


────────


 《よつぽどなれたひとでないと》
古風なくらかけやまのした
おきなぐさの冠毛がそよぎ
鮮かな青い樺の木のしたに
何匹かあつまる茶いろの馬
じつにすてきに光つてゐる
   (日本絵巻のそらの群青や
    天末の turquois
タコイス はめづらしくないが
    あんな大きな心相の
    光の環
くわんは風景の中にすくない)
二疋の大きな白い鳥が
鋭くかなくし啼きかはしながら


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