『心象スケッチ 春と修羅』

□風景とオルゴール
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電燈に照らされたそばの畑を見たことがありますか
市民諸君よ
おおきやうだい、これはおまへの感情だな
市民諸君よなんてふざけたものの云ひやうをするな
東京はいま生きるか死ぬかの堺なのだ
見たまへこの電車だつて
軌道から青い火花をあげ
もう蝎かドラゴかもわからず
一心に走つてゐるのだ
  (豆ばたけのその喪神
さうしんのあざやかさ)
どうしてもこの貨物車の壁はあぶない
わたくしが壁といつしよにここらあたりで


────────


投げだされて死ぬことはあり得過ぎる
金をもつてゐるひとは金があてにならない
からだの丈夫なひとはごろつとやられる
あたまのいいものはあたまが弱い
あてにするものはみんなあてにならない
たヾもろもろの徳ばかりこの巨きな旅の資糧で
そしてそれらもろもろ徳性は
善逝
スガタから來て善逝スガタに至る



第四梯形



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