『心象スケッチ 春と修羅』

□風景とオルゴール
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レールとみちの粘土の可塑性
月はこの變厄のあひだ不思議な黄いろになつてゐる






沈んだ月夜の楊の木の梢に
二つの星が逆さまにかかる
  (昴
すばるがそらでさう云つてゐる)
オリオンの幻怪と青い電燈
また農婦のよろこびの


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たくましも赤い頰
風は吹く吹く、松は一本立ち
山を下る電車の奔り
もし車の外に立つたらはねとばされる
山へ行つて木をきつたものは
どうしても歸るときは肩身がせまい
  (ああもろもろのコは善逝
スガタから來て
   そしてスガタにいたるのです)
腕を組み暗い貨物電車の壁による少年よ
この籠で今朝鶏を持つて行つたのに
それが賣れてこんどは持つて戻らないのか
そのまつ青な夜のそば畑のうつくしさ


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