『心象スケッチ 春と修羅』

□春と修羅
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丘の眩惑


ひとかけづつきれいにひかりながら
そらから雪はしづんでくる
電しんばしらの影の藍■
インデイゴ
ぎらぎらの丘の照りかへし

  あすこの農夫の合羽
かつぱのはじが
  どこかの風に鋭く截りとられて来たことは
  一千八百十年代の

────────

  佐野喜の木版に相当する

野はらのはてはシベリヤの天末
まつ
土耳古玉製
ぎよくせい玲瓏のつぎ目も光り
    (お日さまは
     そらの遠くで白い火を
     どしどしお焚きなさいます)
笹の雪が
燃え落ちる、燃え落ちる


 ■=青+定



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