『心象スケッチ 春と修羅』
□春と修羅
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そ┃ みきは黒くて黒檀
┃こくたんまがひ
の┃ (あたまの奥の
┃キンキン光つて痛
┃いもや)
手┃ このやぶはずゐぶ
┃んよく据えつけら
┃れてゐると
か┃ かんがへたのはす
┃ぐこの上だ
ら┃ じつさい岩のやう
┃に
こ┃ 船のやうに
と┃ 据えつけられてゐ
┃たのだから
り┃ ……仕方ない
は┃ ほうこの麦の間に
┃何を播いたんだ
そ┃ すぎなだ
ら┃ すぎなを麥の間作
┃ですか
へ┃ 柘植つげさんが
────────
と┃ ひやかしに云つて
┃ゐるやうな
ん┃ そんな口調がちや
┃んとひとり
で┃ 私の中に棲んでゐ
┃る
行┃ 和賀わがの混んだ松
┃並木のときだつて
く┃ さうだ
休息
そのきらびやかな空間の
上部にはきんぽうげが咲き