過去と未来
□序章
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「人違いしてしまってすみません。あんまり薫にそっくりだったので」
「そんなにそっくりっなんですか」
「まるで三つ子みたいにそっくりです」
あれから話をしているうちにぶつかった相手が私と同じ名前で雪村千鶴ということ、行方不明になったお父さんを探しに京都まで行く途中だということがわかった。
「わたしと千鶴さんが瓜二つですから私と千鶴さんのお兄さんがそっくりでも不思議はないかもしれませんね」
そして、どうやら私は江戸時代にタイムスリップしてしまったらしい。
千鶴さんがもっている小太刀は雪村の家に代々伝わる小通連。おそらく千鶴さんは祖先だろう。
「千鶴さんには兄弟いないんですか? 」
小通連には対の太刀である大通連があって小通連と大通連を別々の人物が持つのは双子の兄弟が出たときだけでそれ以外は一人の人物が持つ決まりだったはず。
「はい。私は一人っ子なんです」
大通連はいったいどこにあるんだろう。
それとも江戸時代にはまだその決まりは無かったのだろうか。
「京都まで行くのに一緒についていっていいですか? 」
「はい。旅は道連れと言いますから」
こうして私は千鶴さんと一緒に京都まで行く事になった。