トリックスター
□Z
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「柚香、委員長の制服に防水性の盗聴器と小型カメラ仕込んだんだけど見るか」
俺の台詞に柚香は心底不思議そうに聞いた
「えっ。いったい何のために? 」
柚香はもう忘れたのか・・・原作を最後に読んだのは百十八年以上前だから仕方ないか
俺はため息を1つつくと言った。
「委員長が博多に帰ったってことは原作六巻目突入だろ? この前夢の中でした小細工がどう影響するか興味ないのか」
「そうだね! 見よう!」
柚香はピョコンという擬音が聞こえてきそうなくらい勢い良くうなずいた。
そろそろ学園の近くあたりかな
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「飛田様。もうじき学園につきます」
「はい。ありがとうございます」
車の前を横切る女性
「危ないっ」
運転手が急ブレーキを踏みつつハンドルをきった。
あわてて車を降りて女性に近づく運転手と委員長。
「大丈夫ですか」
「大丈夫です。ちょっとぼんやりしてたから驚いてしまって」
女性は委員長の制服を見て何かに気づいたような顔をしてから尋ねる。
「その制服。もしかしてアリス学園の生徒? 」
「はい。幻覚のアリスを持ってるんです」
「アリス紛失事件について調べてるんだけど、何か知らない? 」
「アリス紛失事件? いえ、初めて聞きました」
「知らないのならいいんだけど、あんな事件を起こせるのは盗みのアリスを持ったあたしくらいなんだ。アリス学園には盗みのアリスを持った生徒は居ないよね? 」