Short Novel
□スーパー変態仮面オーロラ
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時は30XX年の東京某区。
人々は平和に暮らしていた。
だが、そこに一人の男が現れたことにより、平和だった街が一変する。
「きゃあぁーっ!誰か助けてー!」
街の中で響く女性の叫び声。
そして高々に笑う男の声。
「はーっはっはっは!助けを求めるなど無駄だぞ!さぁ、おとなしくしろ…」
「嫌よ!あんたの望みなんて、聞きたくないわ!」
「何だと?貴様、俺様に刃向かうとはいい度胸だな…。」
男は抵抗する女の腕を鷲掴みし、棒のようなものを女の顔に向ける。
「な、何すんのよ!」
「ん?こうしてやるのさ!貴様も俺様と同じようになるのだ!」
「やめて!いやあぁっ!」
男が持った棒の先から光が出て、女に向けて撃った。
女は光を浴びさせられ、その場に倒れこんだ。
「くくくっ…。はーっはっはっは!」
男は倒れこんだ女を見下し、その場を去った。
女は数時間後に目を覚ましたが、警察に発見されたときはタンクトップにブーメランパンツ、そしてパンツの上にがま口が装着された格好だったという。
この男が街に現れてから、こういった事件が相次いだ。
あの事件から数週間が経ったある日。
学校が終わり、帰路についている一人の少年がいた。
彼の名はオーロラ。
長い髪をしており、メガネをかけているごく普通な少年だ。
気がつけばもう6時半。
辺りが暗くなってきた。
(おや?もうこんな時間ですか。早く家に帰らないと…)
そう思っていたとき、後ろから視線を感じた。
後ろを振り向いてみたが、誰もいない。
ただ暗闇ばかりが見えるだけだ。
(気のせいかな…。)
再び歩き出したとき、彼は何かにぶつかった。
「うわっ!?」
暗闇でよく見えないが、目の前で仁王立ちしている男性がいるのが分かった。
「あっ、すみません!」
オーロラがその男性の横を通ろうとしたとき、男性は急に彼の腕を掴んできた。
「えっ!?な、何ですか!?」
「うむ…今日の獲物はこいつにしようか…」
「!?」
(この人、不審者だ!)
オーロラは必死に逃げようとしたが、逃げられなかった。
がっちり掴まれていたのだ。
「よぉし、それじゃあ俺様の言うことを聞いてもらおうか。」
「うわっ!」
オーロラは地面に投げ出された。
男性は街灯の下に移動し、再び仁王立ちをした。
「あ…あなたは…!」
オーロラはようやく男の正体が分かった。
「あの事件の犯人…!」
「ほう。俺様を知ってるのか。なら話が早い。」
男の正体は、あの事件の犯人だった。
上半身は裸で、下半身にはブーメランパンツにがま口を装着していた。
被害者の格好と酷似していた。
「俺様の名はマクイル。この世界中の人類全てにこの格好にさせるのが俺様の宿命なのだ!」
(うわー。何かすごくどうでもいい宿命ですね…。)
オーロラは呆れた。
「というわけで貴様、俺様と同じ格好になってもらおうか。」
「僕は嫌ですね!」
「ほう、弱そうなのに俺様に刃向かうのか。なら力ずくでもこの格好になってもらおうか!」
マクイルが差し出した杖から光が放つ。
光がオーロラの目の前まで迫る。
(くっ…。僕はもうダメです…。)
オーロラが目を瞑った瞬間、マクイルの動きがピタリと止まった。
恐る恐る目を開けてみると、光がオーロラの目の前で止まっていた。
それだけではない。
オーロラ以外の全ての時が止まっていたのだ。
(えっ…?一体これはどういうことでしょうか…?)
周りを見渡すと、どこからか声が聞こえる。
「諦めんなよ。諦めんなよお前!どうしてそこで止めるんだそこで!」
「!?」
目の前に羽のついた小さいおじさんがいた。
「もう少し頑張ってみろよ!ダメダメダメ諦めたら!」
「え…あの…あなたはどなた様でしょうか?」
「炎の妖精、松岡しゅーーーーーZO!」
「炎の…妖精…?」
「そうだ!」
炎の妖精松岡修造(以下修造)はオーロラの周りを飛び回り、彼の体に火の粉を吹きかけた。
「熱っ!熱っ!」
「修造式変身道場、始まるZO!」
「もっと、熱くなれよおぉ!」
後にその火の粉は戦隊ヒーローみたいなスーツに変わっていった。
「わぁ…。すごいです!ありがとうございます!ちょっと熱いですけど…」
「仲良くFight!」
修造は炎と共に去っていった。