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□キラキラ。
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『ガチャ』



俺のそんな沈んだ考えは
隣家からの高野さんが帰ってきた音で打ち消される。
その音でそれまで肌寒かったこの部屋の温度が少し上がったきがした。


はは、俺もエメ編に侵食されてるなぁ…



すっかりひねくれてしまった自分のどこに、こんな乙女な部分が眠っていたのだろうか…とおどろかされる。


「今日は・・・もう来ないよな…流石に」

そうつぶやくと、俺はリビングから寝室に向かおうとした。

その時・・・・
俺のその言葉を否定するかのように、携帯が音楽を奏ではじめた。

ディスプレイに表示されるのは
「Eメール受信」と「高野政宗」の文字。


俺は慌てて携帯を開き内容を確認すると、
そこに並ぶ、自分の気持ちと同じ文字に頬を赤く染めた。


『律、会いたい』


…だから、なんで、

なんであんたは・・・

そうやって・・・・

ああ・・
だめだ・・・・溢れてしまう・・・


「好き・・・・」

思わず自分の口からこぼれた感情に、俺の顔はさらに熱をあげる。

そんな俺の言葉を聞いていたかのように
また携帯がなり始める。

また表示は「高野政宗」


なんだろう・・・


そう思いながら画面に視線を落とすと
今度はすぐに携帯を閉じ、俺は玄関へと走り出した。


その画面にはさっき自分が口にした感情と同じ文字が並んでいたのだ。


『すき』


その言葉を見たとき
俺は、もうどうしようもなくて、
この想いを伝えたいとそう思った。


今まで俺は仕事を言い訳に高野さんから逃げてきた。

”仕事が大切で恋愛なんかしている暇はありません”と。

でも最初から仕事と恋愛、そんなのどっちかなんて選べるはずが無かったんだ。


高野さんと一緒に仕事をして、
そこには、どんどん高野さんを意識して、高野さんに恋をしていく自分がいて…

俺に仕事を教えてくれたのも、恋を教えてくれたのも高野さんだから。
最初から俺の世界には高野さんしかいなかったから・・・。


ねえ、高野さん。

俺やっぱりエメ編に結構侵食されてるみたいだ。

だって、ほら、さっきまであんなに不安でたまらなかったのに…


あなたからのその2文字だけでもうハッピーエンドしか思いつかないんだ。





俺は自宅のドアを開けて、普段は無理やり連れ込まれるその部屋に向かう。

チャイムを鳴らすと「どちら様?」という気だるそうな声とともに高野さんが出てきた。

そして俺の顔を確認すると、予想通り目を大きく見開き、驚いた表情を見せる。


その表情があまりに想像通りだったから、俺は思わず笑ってしまった。



ああ・・


この後俺が「愛の言葉」を囁くと、あなたはいったいどんな顔をするんだろうか。




俺はそんなことを考えながら口を開く。




「高野さん、俺も・・・・好き











・・・・・・・・・・・・・・・end.

「キラキラ。」後日談はclapのなか。

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