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□明暗。
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渇く・・・

なんだこれ・・・・

ああ、そうか・・・・

俺は生まれつき欠陥品で、何か足りないから。





そうか・・・





そうだ・・・・

早く


補給しなきゃ・・・



誰でもいい、



俺を潤し満たしてくれるなら。






暗闇の中
波打つシーツに埋もれ、
俺は自分の上に覆いかぶさる誰とも分からない男の首に腕をまわす。


切ない表情で欲情を誘い

ねっとりとした舌先で絶頂を誘う

後は甘く甘く、切なく鳴けば…


ほら、俺が欲しくてたまらなくなるだろ?



何をして欲しい?


いいよ、今夜だけなら何でもしてあげる。



「面倒なことはナシでスマートに、その場限り」の大人な関係。


『舐めて』『触って』『入れて』『動いて』『鳴いて』…それから―?


「愛してる、翔太」
俺の中に入りながらそう囁くその声は
どうせ俺の身体を引き止めるためだけの「餌」なんだろ?



そんな言葉は要らない。



どうせ、お前も俺の外見に惹かれただけなんだろ?

汚れを知らない、そんなこの見た目に引かれて汚したくなっただけなんだろ?

でも残念な事に俺はそんな綺麗な人間じゃない。
見た目は可愛く装っているけど、中身はドロドロ。
あんたは、そんな俺を知っても同じ言葉を吐けるのか?


俺はそんな不確かな言葉は要らない。
それよりホラ、そんな暇があるならもっと俺を満足させてよ。
俺の渇きをはやく、はやく、潤して―。



俺はそんな事を考えながら、その男にしがみつき
次の日には忘れてしまうその名前を必死に叫び続ける。


何度キスをかわしても
何度身体を重ねても
その渇きがいえることはなくて。
それどころか余計にむなしく、更に渇く。

それは人を変えても同じで
俺はもうずっとこの渇きに耐えて生きていかないといけないのだと、
なんて悲惨な人生なんだと、
諦めていたんだ。



そう、

思い出した。


この暗く虚しく苦しい

どうしようもない絶望感。

あれ?

俺忘れてた・・・?

気がついたら抱いていたこの感覚を・・・


なんで?




なんで―――
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