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□だから俺は
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初恋は実らないなんて誰が言った?




素直じゃないアイツからようやく
「好き」
を聞き出せたのは今から丁度1ヶ月前。


今ははれて恋人となったのだが・・・
付き合いだしたからと言って
急にコイツが素直になるはずもない。



今日も仕事が終わり一緒に帰ってきたのはいいのだが

「ウチ来るだろ?」という俺の誘いに

あろうことか
「今日は宇佐見先生の新刊を読みたいので遠慮します。」
なんて言いやがる。

「そんなのウチで読めばいいだろ!」
と半ば無理やりに連れ込んだのは俺・・・


ウチで読めば良いとは確かに言ったが・・・



かれこれ2時間・・・・



俺の恋人 小野寺律 はソファーの前に座り
その宇佐見秋彦シリーズの新刊を読み続けている。



しかも「無言」で・・・



「飯食うか?」
「コーヒー飲むか?」
「風呂入れ」

そんな俺の言葉も華麗にスルーし黙々と大好きな本を読んでいる。



まあ・・
こんな真っ直ぐな所も
素直じゃない所も含めて好きになったのだが・・・




流石に2時間無視をされると傷つくな・・・
普通付き合って1ヶ月とかもっとイチャイチャするもんじゃないのか?



そんなことを考えながら俺は律がもたれているソファーに座る。

俺の足元に座る律は相変わらず本から目を離すことはない。


「はあ―・・・」

小さくため息をつきながら俺は見たくもないテレビをつけた。


その時・・・


ふっと俺の足元が暖かくなる。



驚いて目線を下げるとそこには先程と変わらず真剣に本を読む律の姿。

ただ、さっきと違うこと―・・・


それは律の頭がちょこんと俺の膝の上に乗っていたこと・・・・

そしてその律の顔が耳まで真っ赤でとても可愛いということ・・・・


そんな律を見て俺は思わず頭を優しくなでた。




すると今まで無言だった律が

「もう少しで終わりますから・・・そしたらこの本について話せるでしょ?・・昔みたいに」

とボソッとつぶやく・・・。


その言葉に俺はまた驚かされた。

確かにその本を俺は発売日に読み終わっていた。
しかし律が忙しかった事もあり読み終わったことは一言も言っていなかった。



でも律は俺が昔このシリーズが好きで
毎回発売日に買いに行って読んでいたことを覚えてくれていたのだろう・・・

それで自分も早く読んで俺と昔みたいにこの本の話がしたいと・・・・
そう思って真剣に読んでいてくれたのだ・・・



心が一瞬で暖かくなる。


ああ・・
どうして・・・
どうしてお前は・・・


俺は足元で頬を赤く染めながら
それでも真剣に本を読む愛しい恋人の頭にふっとキスを落とす。


そうするとその恋人は顔をもっと真っ赤にして
そのエメラルド色の大きな瞳を見開いて
俺の方に振り返る。


そんないつまでたっても初心な反応をする君だから

俺の為に一生懸命な君だから

昔と変わらず

全てが―

すべてが愛おしい君だから。



だから俺は・・・




何度も何度も
君に恋をする―・・・・







end......


←良かったら拍手おねがいします(●´∀`●)←感想いただけたら一人で「うお!」って叫びます。




・・・・・・---−−−→あとがき☆
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