駄文U

□病んで、歪んで
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「ん〜」

メカクシ団、アジト内の一室。
リビングのアジトっぽい雰囲気とは一転。
この部屋にはアンティークな小物や可愛らしい人形で埋め尽くされている。
そして、ベッドの横におかれたプラスチック素材で作られた、ゴージャスなスタンドが淡い朱色の光を周囲に撒き散らし、少女を妖艶に写し出す。
白い髪は、朱に変わり。
少女がペンを動かす度に、影がゆらりと揺れる。

「どうしよっかな〜」

どこか、楽しげに話す少女の目は赤く、光っていた。





「………」

本日も晴天なり。
お母さんと一緒に暮らしてたときは、雨ばっかりでつまんなかったけど、ここにきてからは晴ればっかり。
晴れなのはいいけど、ここは日差しが強すぎるかも。
帽子、作ってみようかな。
麦わら帽子ってやつ。
キドを連れて…あぁ。
でも、カノが邪魔くさいかも。
どうしてあんなに私のキドにちょっかいかけるのかな。
イライラしちゃぅ…。

ーコンコン。

「マリー、朝ごはんっすよ」

「ぁ、セト…」

そうだ。
セトは私を好いてくれてる。
利用するにはもってこいじゃないか。
好きなもののためには、他を利用する事もいとわない。
幼い頃に読んだ本に書いてあった気がする。
あの本は私とお母さんの部屋に置いてきてしまったけれど。
でも、なんの問題もない。
セトの緑のつなぎを引っ張った。
振り返るセトに少し困ったような笑顔を向けた。

「…ねぇ、セト。私、お願いがあるの…」

「えっ、なんすか??」

少ししゃがんで聞いてくるセトに内心笑いながら耳元に口を寄せた。

「……あのね…」





朝ごはん。
今日はパンみたい。
パンは、よくお母さんが焼いてくれてよく食べていたから、とても懐かしい。
紅茶を入れようとキッチンに入ると、キドが忙しく動いていた。
テーブルの上にはサラダがあって、後はパンとスープだけだと思う。
チンッと焼けた食パンが二枚上がってくる。
それをキドが皿に乗せ、マーガリンを手早く塗っていく。
その綺麗な手さばきに感動して眺めていると、キドが私に気づいて、顔を赤らめた。

「マリー…!いたのか?」

キドの様子が相変わらず可愛いな、と思いながら子猫のようにすりよった。

「ね、キド。今日、二人でお出かけしない?」

照れてしまったのか、顔を背けて、頷いた。
だけど、やっぱり口があるなら使わなきゃ。
「キド、ちゃんとお口で言わなきゃダメだよ?わかってるでしょ…?」

諭すように、小さくまわりに聞こえないように言うと、キドは身体を少し震わせて。

「…わ、かったよ…。午後でいいか?」

すぐにカッコつける。
そういうところは好ましくないんだけどね。

「うん、あっ。お茶入れたいんだけど…」

「いや、大丈夫だ。マリーは座っててくれ」

キドの言うとおりにリビングに出た。
テレビの前のソファーには、カノとセト。
とっても楽しそうだから、なにも言わなくていいよねっ。



「ご馳走様でしたっ」

いっつも食べ終わるのは最後になっちゃう。
カノには口が小さいんだよって言われたんだけど、開けようとおもえば出来るんだから。

「あっ、キド。今日さ、暇?ちょっと行きたいとこがあるんだけど」

あ。

「っ…すまん。今日は用事があるんだ」

…ふふ。
やっぱり、キドはいい子だね…。
必死に口元の歪みをなおしつつ私に宛がわれた部屋に戻った。



ーコンコン、カチャ…。

「…キド。準備できた?」

静かに後ろ手でドアを閉め、キドを見つめる。

「…あぁ。出来た」

「じゃあ、早くいこ?」
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