駄文U

□私が初めて『愛』を知った日
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私の、蛇のような鱗の頬に愛しい彼の指が触れる。
熱は感じない。
昔、この姿であることに気付いてからというもの、私は私自身とこの世界と人間という生き物を理解しようと勤めてきた。
その結果、私の体は蛇に近いものがあるらしく、頬のみは熱を感じ得ない…変温動物のようになっているらしい。
なんとも不便な身体だ。
そこ以外は熱を感じられるというのに。

「…アザミ、本当にいいのかい?」

するり、と撫でるように指を滑らせた彼は心配そうにそう問う。
いつも後ろで一つにくくったままな黒髪をすとんっと落とし、白いワンピースのような服を身に纏った私はただ首を落とすかのように頷いた。

「良くなければ、今触れさせるはずもないだろう?」

冷たいように言えばツキヒコは苦笑いを溢して、私の細い体躯を抱き寄せた。
彼の温い体温を繊維越しに感じて、心というものが強く、打った。
いたく感じるほど強く。
こう、抱き寄せられれば性別、などというものをよりはっきりと思い知らされる。
彼もきっと男としては細い方なのだろう。
それだというのに、私を軽々と抱き寄せてその長い腕で包み込む。
心が早く波打って、身体が火照ってわけがわからなくなりそうになる。
これからする行為は抱擁よりも濃いというのに。
こんな程度で上擦っていてどうするのか。私は静かに息を吐いた。
それに合わせるようにツキヒコは私の首筋に滑る舌を滑らせた。

「ぅひゃあっ!」

ビクッと跳ねる肩が微かに震えた。
思わずツキヒコにぎゅっとしがみつくように抱きついてしまって、激しく羞恥心という気持ちに襲われた。

「な、ななな…なにをするのだ!?」

「ご、ごめんごめん。あまりに白くて美味しそうだったからさ」

「ぉ、美味しっ!?わ、私を…食べるのか…!?」

初めて人間に会ったときの恐怖を思い出して私はぶるっと体を震わせた。
じわり、と涙が滲んで泣いているのかと気づいたが気が動転していて拭う暇などなかった。

「大丈夫。僕はアザミを食べないから、ね?そんなに怖がらないで?」

ツキヒコは優しく笑って、涙を拭った。
その笑顔にホッとして、私はだらしなく四肢の力を抜いて、そのまま後ろに倒れ込んだ。ボフッと耳元で音がなってその布団の心地よさに私は「んー…」と小さく息を漏らす。
ふっと、現れた影に驚いて目を開くと私の顔の横に左手をついて見下ろす彼の姿があった。
その表情は先程までのその優しい笑顔ではなく、まるで肉食獸が捕食者を狙うときのようなそんな危険な目付きをしていた。

「…っ」

初めて見る彼のそんな瞳にドキリと心臓が跳ねる。
息を飲んだその瞬間に唇に独特の柔らかさと熱をもったなにかが触れて、ぶわっと体温、心拍がともに上昇した。
それは一瞬で離されたような気もしたが、ともすれば永遠とも紛うほどの長い時間していたかもしれない。
そして彼はあの雄の表情を引っ込めて柔らかく笑って言うのだ。

「へっへへ。キスしちゃった」

「……お前は女か…」

突っ込みながらも顔の熱はおさまることを知らず、ツキヒコの指が私の足を這うその感覚から逃れるために身体をくねらせた。
それでもツキヒコの指は止まることなく、私の身体の中枢を目指しているようにすす…と滑っていく。

「ゃっ、だ…つき、ひっ…こ、」

「何が嫌なんだい?とてもエロくて可愛いよ…アザミ…」

ツキヒコの指は人に触れられたことのない内太股の付け根まで来ていて、初めて感じる背骨が浮くような感覚に私は混乱していた。
ツキヒコはどういう表情をしているのか、私の死角の耳元に顔を隠して、時折耳朶を食みながらそんな厭らしい台詞を囁いてくる。
それでさえも感じてしまうのか、背骨が浮くような…そんな感覚に飲まれそうになっていた。

「…よかった。アザミが感じてくれてるみたいで。」

涙で霞む視界で、安心したようなツキヒコの声で私のボヤけた脳は覚醒した。

「…ツキヒコ?」

「ぃや、恥ずかしながらこういった事をするのは初めてでね?僕の拙い愛撫で感じてくれるかずっと不安だったんだ」

照れ笑いをするように頭をかく彼に私は一瞬呆れ、そしてふっと笑った。

「そんなくだらない心配をするくらいなら早くしたらどうだ。もうじき夜も明けるぞ?」

ツキヒコは触れるだけのキスをしてうん、と頷いた。

「、ひっ…!」

クチュ、と水音がしてツキヒコの細いが男らしく節だった指が私のよくわからない場所に入っていく。
じわじわと熱を帯びて、頭が真っ白になる。快感なのか違うのかそれすらも区別がつけられないようなそんな感覚に私は意思をなくす他なくなった。
断続的に声をあげる私が心配なのかツキヒコの指が私のナカを弄くる。
熱い。熱い熱い…!
炎に炙られたときとはまた違う熱が私を身体の中から襲う。
その時。彼の指がより奥のなにかに触れた。ゴリ、と固いものを押された、そう思った瞬間。

「っ、ぁぁあっ!?」

喉から甲高い声があふれでた。
今まで聞いたこともない悲鳴じみたその声は、確かに艶やかに空気を揺らした。
目の前の白が消えて、荒い息を整えながらツキヒコを見やれば、とても嬉しそうな笑みが私を捕らえていた。
それが気恥ずかしくて、私は思わず目を隠すように腕でツキヒコの視線を遮った。

「あぁっ、どうして隠すんだい?せっかく綺麗なのに」

「ぅるさいっ…!見るなばかっ…!」

「わかったよ。しようがないな…」

ツキヒコは小さく息をはいてそう言うと目を隠す私の腕にキスを落として、しどしどと濡れそぼった私の熱い秘部に熱く固いものを宛がった。
知識でのみ知っている、生物の交尾の仕方だが、こう実践してみると怖いことこの上ない。
歯がカチカチと音を立てて、目を塞ぐ腕が解りやすいまでにガクガクと震えている。

「…アザミ、そんなに怖がらないで?大丈夫…、大丈夫だから…」

ツキヒコは私のその様子を案じたのかその額から、腕やら、唇やらにキスを落として、慰めてくる。
それに心が安らいでしまう。
ふっと力が抜けたその瞬間にツキヒコは小さく「ごめん」と呟いて宛がわれたその熱いものを私の中に挿していった。

「ぁ、あ、あぁぁぁああぁ…!!!」

ミチミチ、と嫌な音を立てて肉が割れていくのを感じる。
針でチクチク刺されるような痛みを伴って、ツキヒコの熱いモノをゆっくりと飲み込んでいく。

「ぁ、は…ぁぁぁあ…」

ナカで、コツ…と何かに当たるような音がしてツキヒコのそれが前進を止めた。
ほっとして息をつく間もなく、彼はゆっくりとそれを動かし始めた。

「…ごめん、アザミ。もう我慢できないんだ」

ゆるゆると動くそれはきっとまだ理性を伴っているのだろう。ゆっくりだ。
それをどこかもどかしく思い、彼の腕を引いた。

「…私は、人間ではないから、多少乱暴にしたって平気だ…。だから…我慢なんてしないでくれ…」

「ぁ、アザミ…!」

ぱぁぁぁ、とわかりやすいまでの歓喜の表情をつくるツキヒコを愛しく思いながらその唇に軽く口付けた。

「愛してる、ツキヒコ」

瞳がブワッと熱を帯びて、私はその熱と痛みに声を
荒げた。
心配してくる彼に私は今までに見せたことがないような笑みで笑って。

「大丈夫、だから…ツキヒコ。私をもっと愛してくれ」

そう懇願した。





end
→あとがき
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