駄文U

□姿を似せるよりも
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ーカチャカチャ…。

手元を泡とぬるま湯にひたしながら、俺ははぁ、とため息をついた。
泡で滑る手で汚れた皿を拾い洗っていく。
リビングにはすでに誰もいなく、時間も既に遅く12時を過ぎた。
今日はやたらと疲れた…。
団員も増えたし、まさか遊園地に行くことになるとは…。
お化け屋敷を思い出して、一人でブルリと震える。
そして、それらを追い払うように緩く頭を振って、茶碗洗いに没頭する。
そういえば、今日はやたらとカノが早く寝たな。
あの、カノも疲れていたんだろうか…。
没頭したおかげで早く終わった茶碗洗いにため息をついて、手をふいて早く寝よう、と部屋につながるドアを開けた。

「…は…?」

そして、めを見開いた。
そこには、俺がいたからだ。
見た目、存在感、全て似ている。
…なんだこいつ…。

「っ、っ…ブホッ!や、やめて…!キド…そんなにガン見しないで…!」

俺に似た何かがぷるぷると震えていきなり笑いだした。
なるほど、わかった。
こいつはカノだ。
とりあえず、カノを絞めてギブ!と言わせてから、どういうことかをとうた。



ある日、寝る前に能力がどれだけ使えるのか、試してたんだ。
え?
どうやって試してたかって?
そんなの決まってるじゃないか。
鏡を見ながら能力を使ってたんだよ。
寂しいやつだなんて言わないでよ…。
自覚はほんのひとかけらも無かったんだからさ。
そして、思ったんだ…!
もしかしたら、この能力でキド含めた別の人間に欺くことができるんじゃないかって…!!
それから僕はずっと練習した。
まず最初のターゲットはキドだなって決めてから頑張って、キドに欺けるようにしたんだ。
そして、出来るようになったから今日こうして出てきたってわけ!
…どう?
驚いた?

…ごぶうっ!



とりあえず、目の前で力説する俺…に似せたカノを殴ってみた。
ふむ、なにも思わないもんだな。

「…なんで、俺に似せようとしたんだ…?」

ため息と一緒に問うと、カノが普段の姿に戻って、にへらっと笑った。

「だって、そうしたらキドの気持ちがわかるかなって思って!ほら、やっぱり好きな人の気持ちってわかりたいじゃん?」

かぁっと顔が熱くなったのを感じる。
それを見られたくなくて、ふいっと顔を横に向けて小さく罵る。
それが何をいっているのか聞こえなかったのか、ぐいっと顔を近づけてくるカノの頭を押さえて、口をあわせる。
「本当に好きなら、似せるんじゃなくて聞いたりすればいいだろ!」



「……ふふ。キド、だーいすき」

キドのツンデレはいつものことだけど、少しデレが入ったキドはやっぱり可愛い。
キドの白くて綺麗なぽっぺたにキスを落として、ベッドに横になるキドにすりよって一緒に眠った。


えんど

あとがき!
ぷー様の素晴らしいご厚意にたわまりまして、相互させていただき、誠にありがとうございます!
その感謝文としまして、この駄文をあげさせていただきます…!
お持ち帰りはぷー様のみということでお願いします。

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