シークレット
□強者
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ファレノ達が到着する頃には全てが終わっていた。
胴と頭に分断された巨大なウツボ。王宮の高さはあるだろう。
それを老若男女問わずたくさんの人が運んでいる。
そんな様子を少し離れた所からシンドバッドが眺めていた。
「何があったんですか?」
「謝肉宴(マハラガーン)で食べる南海生物をちょっとね」
シンドバッドは楽しみにしていなさい、と言った。
そんな事を言われなくても国民の様子を見るだけで十分期待は膨れる。
準備という面倒なことも楽しんで行える国民だ。祭り本番はもっと楽しいはず。
「シンドバッドさん! これ、師匠がやったんですよね!?」
ファレノとシンドバッドが話しているとアリババが興奮した様子で入ってきた。
「師匠?」
「ああ、シャルルカンと言ってな。アリババ君の剣術を鍛えてもらっているんだ」
へえ、と相づちをうち横を見るとアリババはモルジアナに師匠の強さを語っていた。
あの南海生物の骨を刃こぼれ一切無しで切るんだぜ、とか剣のフットワークの無駄の無さは素晴らしいとか、相手のペースはお構い無いに喋り続ける。
モルジアナは話に置いていかれないようにとタジタジになりながらも懸命に聞いている。