シークレット

□名前はあった
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家の前に私はいた。

木造の可愛らしいログハウス。
一階建てで、まわりは木で囲まれた綺麗な場所。

絵本に出てきそうな情景に私は感動を覚えた。


「なんだ?」


突然頭上からふってきた重低音。

思わず私は足元にあったよく分からない武器を手に取ろう……とした。

男性がそれを阻止するかのように素早く取り上げる。

明るい茶髪に無精髭。服は薄汚れているが、意外と若そうだ。


「メイス……。お前、奴隷か?」


メイス? 奴隷?
私はなにも言わず、ただ首を傾げるだけだった。


「分からないのか。でもほら、ファレノと書いてあるだろ。うちの国との戦争相手はな、捨て子を拾って奴隷にするんだと。そして戦争に出す」


眉間にシワを寄せ、吐き捨てるように「嫌な国だ」と呟いた。

でも私には、気になることがあった。


「そのファレノっていうのが書いてあると、奴隷ってことになるの?」


男性は目を大きく見開いて私を見てきた。


「それはお前の名前。メイスはその国の奴隷の持ち物。メイスに名前が彫ってあると奴隷ってことになる。お前、本当にどこから来たんだ?」
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