シークレット
□しかく
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少し状況を整理しよう。
岩の壁はクレーターのようにでこぼこになっている。
池はその壁から落ちてきた岩によって穴があき、どんどん水量が減っていく。
そして、骨折しているのでは、というくらい酷かったアラジンの怪我が一瞬で治った。
といっても、多量の擦り傷はそのままだが主な部分は完治したと言ってもいい。
アラジンはこう言った。
「なんかね、なにかが体内に入ってきたんだ。でも、ちょっとした違和感っていうのかな? 誰かが他人の力を使ってるって感じがした」
この迷宮(ダンジョン)の力というのが現段階の推測では有力だが真相はわからない。
それにいくら考えても答えあわせは出来ない。まずは保留にし、通り道や抜け道を探すことにした。
「それにしても地味な作業ですね」
思わず白龍から苦笑がもれる。
五列になって地面を力強く踏み進めているのだ。無理はない。
最初の場所みたいに地面に隠し穴があるのでは、という考えからだ。
だが、これには欠点がある。そう、足が疲れる。
モルジアナが歩いた跡も最初の頃と比べると地面の陥没具合もだいぶ変わっている。
みんなも息切れが激しくなってきた。
「ねえ、やっと半分折り返したところで悪いんだけどさ」
ファレノはなにかに気づいたのか池を真っ直ぐ見ていた。