「着いたぞ」
アリババの言葉に視線を前に戻す。
「…………」
絶句。
豪華で綺麗できらびやかな王宮。
今まで一度も近づいたことがなかったから想像以上の大きさに開いた口がふさがらない。
四人に案内されたファレノは緑の庭園を歩き正面入り口へむかう。
王宮が圧倒的な迫力でせまってくるような感覚に襲われる。
建物の上部につきだした無数の塔。
それだけで一つの街を見ているようだった。
王宮に入ると、とたんに熱気が消える。
天井の高いホール。
右に大きな絵。
ただ、芸術など全く分からないファレノには訳の分からない模様にしか見えない。
(迷子になったら悲惨なことになるな……)
ファレノの頬を冷たい汗が流れる。
パン屑を落としていくか? などとも考えたが、ただのイタい人なのでやめた。
階段を登って廊下を進む。
何回か廊下を曲がって案内されたのは広い部屋。