シンドリア王宮内。
そこに銀髪を揺らしながら走る男がいた。
「シン!」
バン! と壊れるのではないかという勢いでドアを開ける。
シンと呼ばれた男、シンドバッドは豪華なイスでのんびりくつろいでいた。
「なんだジャーファル。珍しいな、そんなに慌てるなんて」
ご自慢の長い髪をクルクルといじりながら対応する。
ジャーファルは、髪を引きちぎり二度と毛が生えてこない頭皮にしてやりたくなったが、凄まじい精神力で我慢した。
「これを見て下さい」
ずいっと目の前に一枚の紙を差し出す。
そこには、びっしりと小さな文字が並んでいた。
受け取り、それに目を通す。
「森林伐採?」
「はい。なんでも太くて長年放置していた木を切り倒しているんだとか」
「んー……」
腕を組み、唸るシンドバッド。
「使える土地が増えるという点ではいいが、貴重な木だ。それは困るな」
でしょう? とジャーファルは肩をすくめた。
「それに加えてですね。ちょっとしたパフォーマンスもしているんだとか」