「おーい! シンドリアが見えてきたぞー!」
見知らぬ青年の声で船がわっと盛り上がった。
見た目16ほどの少女、ファレノは急いでデッキへと向かった。
「わあ……!」
小さい国だが、緑が豊かで青々としている。
その国から吹く爽やかな風が、ファレノの金髪を揺らしていった。
腰まである長い髪。
だが、癖毛がちであまり自慢は出来ない。
「シンドリア便到着でーす! お降りの際は四列に並んで順番に降りてくださーい!」
船員が声を張り上げ客を誘導し始めた。床に置いていたメイスを拾い、階段を降りる。
先端が金属、その他は木で出来ており、飛び出た丸い金属部分で突くというシンプルな武器だ。
身の丈160センチほどのファレノに対し、メイスは60センチほど。
軽いとは言えないが、小さい頃から持っていたため、慣れてしまった。