日は揺れる心を照らす
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学校、行きたくない。
こんな事を思ったのは初めてだ。
今までは何だかんだ言って楽しかった。授業も宿題も、仲間といるだけで学校生活のおまけみたいだった。
今はクラスメイトが怖くて仕方がない。私を疑ってきたことが悲しい。そして、その疑いが晴れていないのが悔しい。
そんな暗い気持ちを水で顔を洗って洗い流す。
パンを無理矢理口に入れ、時間ギリギリに家を出た。
この時間は走っていく男子生徒とよくすれ違う。
そんな中、一際目立つ髪の色を見つけた。彼は私と同じくのそのそと歩いている。
まだ昨日の話だ。私のイメージを良い方向に持っていくには、今明るく話しかけるしかない。よし。
「おはよう、紅覇君」
紅覇君の横に飛び出し、二列に並んで歩く。右を向くと「なんだこいつ」と言わんばかりに怪訝な顔をしていた。
「僕になにか用?」
「いや、何も……。こ、紅覇君は誰かと登校しないの?」
「見れば分かるでしょ」
「……そうですね」
無理だ。これはキツイ。
居心地の悪い沈黙が場を支配する。
紅覇君は私を置いてさっさと言ってしまった。
やっぱり、手遅れなのかな。
昨日のうちに、ヤムライハたちに逆らってでも話しかけるべきだった。
言い様のない後悔に蝕まれる。
どちらにせよ、良い方向には向かない選択肢というのが余計に暗い気持ちにさせる。