日は揺れる心を照らす
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トイレ掃除って一人でやるものだったっけ。
例の三人は鏡の前で楽しく雑談。その傍らでせっせと私は床をふく。
昔は皆でやってたのになあ……。
すると、手に鈍い痛みが走る。
「痛っ」
私を無視し、三人はトイレを掃除する柄つきタワシを手に取る。
どうやらヤムライハが踏んだようだ。私を見て薄ら笑いを浮かべている。
「志乃、トイレの中もふいときなさいよね」
言われるがままに私は動く。
ヤムライハを怒らせると怖いしね。
のそのそと立つと、急に背中を押された。
「えっ」
体が前傾姿勢になるのをこらえ、右足を踏ん張ったが左足はそうはいかなかった。
バシャッと勢いよくトイレの水に突っ込んでしまう。
「なに? 汚なっ!」
慌てて足を引き抜くと今度はドアを閉められた。
これから起こる事を予想してしまい、うかつにもドアへ近寄って叩いてしまう。
「出して! ねえ、開けてよ!」
ピチャ、と降ってきた水滴。雨漏り?
ふと上を見上げたら先程の柄つきタワシが顔をのぞかせていた。
「きゃああああ!」
顔にかかった水滴を必死にこすり、個室の奥へと縮こまる。
しかし、すぐにバレてしまう。
「奥に行ったよ。二人は隣のトイレに入って!」