教室に入ると夕焼けのオレンジ。そして、向日葵(ひまわり)みたいな黄色……アリババがいた。
「遅かったなモルジアナ……って志乃!? なんで濡れてんだよ!」
「ちょっと、ね」
モルジアナは私とアリババと交互に見つめ、
「お二人は仲がよろしいのですか?」
「まあな。俺が引っ越してからはそれっきりだったけど」
ずいぶん規模が大きい引っ越しだよね。
これを引っ越しで片付けるのには疑問があるけど、他の言葉が出てこない……うーん。
「それはそうと志乃さん。これ、私のジャージです」
「あ、ありがとう!」
窓際へ行き、カーテンで身を隠してブレザーを脱ぐ。
うわ、ブラウスまで濡れてる。
ボタンを一つずつ外していき、猛暑日みたいに肌にへばりつくブラウスを畳んで床に置く。
その時、もの凄い勢いで何かが近づいてくる気配がした。
その何かは私がいるカーテンを右手で掴み、思いっきり左へスライドさせる。その間わずか一秒ではなかろうか。
「ひゃあああ!」「わあああ!」
なんでアリババも叫ぶの!?
ていうか、私、下着だけ……!
私は超音波のような声を出し、ちぎれんばかりの力でカーテンを引いた。