日は揺れる心を照らす

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私、ここで死ぬの?

ヤムライハは手を離しそうにないしなあ。

そういえば色々あったな。

幼稚園児の頃はアリババと二人でよく遊んだっけ。

小学校で茉李と出会えて嬉しかった。

からかわれて泣いていた私を助けてくれて……。あれこそヒーローだよ。

その後くらいかな。アリババが外国に引っ越しちゃったのは。
いきなりだったから悲しかったな。


そうだ、茉李。アリババ。


茉李と仲直りをしなきゃ。アリババとはもっと話したいことがある。


私はまだ死ぬわけにはいかない!


意識がクリアになった。

とにかく息を吸わなければ。

顔を左右に振ってみたが、ヤムライハの力が強すぎて少ししか動けない。


「なんだ、まだ余裕じゃん」


ごつん、と頭を洗面所に押し付けられた。

さっきまでとは比べ物にならない力だ。

暴れだした私を見て「そんなに簡単に死ぬわけない」とみたのだろう。

これは……死ぬな。

案外その場になってみると頭の中は真っ白でふわふわしている。

いつでもすぅっと意識は飛んでいきそうだ。

それでも頭にかかる水圧と腕の感触。

これがぎりぎりまで意識を保たせてくれる。
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