「うっぜえなあ」
紅覇君はきょとんとした顔になる。
「俺に構うんじゃねえよ。そんな下らねえことに関わらせんな」
おずおずと首に回していた手を離すと、静かにジュダルから去っていった。
顔を悲しそうに歪ませながら席につくと、皆も申し訳なさそうに戻っていく。
嵐は去った……のか?
時間にしてたったの数分なのに、一時間は立っていたように感じる。
ほっと一息し、席につく。
それにしても、苛立ったジュダルは怖い。
神社であんな態度をとったのによく生きてたな、私。
「志乃!」
ぐるりと腰を回転させ、アリババはあの頃と変わらない笑顔をみせた。
「俺のこと覚えてるか?」
私は縦に頷く。
「もちろん。幼稚園以来だよね」
パアッと花が咲いたように眩しい笑みになる。そんなアリババに、ずっと気になっていたことを訊いた。
「どうして私を助けてくれたの?」
アリババは下を向き、恥ずかしそうに頬をかく。「覚えてっかなあ」とぶくつさ言っていたが、
「やっぱ言わない。お前絶対覚えてないしな」
と、はにかんで応えた。