日は揺れる心を照らす
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「私は勧善懲悪であるべきだと思います。副学級委員になるとき、クラスの前で宣言したことを忘れてはいません」
「俺等は小せえ頃からの友達なんだよ! そんなのよりもずっと信じられる!」
二人の温度差が如実に現れている。それが教室にピリッとした空気を醸し出す。
それにしても懐かしい。アリババ、覚えてくれてたんだ。
せっかく同じクラスになれたのに一回も話さなかったから、私のことを忘れたのかと思ってた。
感慨にふけっていると、クラスでも異質な人物が落ち着いた様子で恐怖によって支配する。
「へえ、面白いじゃん」
注目が一点に集中した。
それでも物怖じせず、頬杖をついてにやにや笑う。そんなおぞましい雰囲気を持つ紅覇が一つ提案を出してきた。
「こんなに二極化してるんならパパッと決めちゃおうよ」
「決めるとは、なにをですか?」
さらにニヤリと笑う。
「どっちに付くかをさ」
やっぱり異質な考えだ。
しかし、それなら私の敵と味方が分かって助かる。
それにアリババと白瑛の勢力は半々。
クラスの半分が私の味方になってくれるなら、とても心強い。
もしかしたら、いじめもエスカレートする前になくなるかも……。
「ちょうど二人の席は廊下側と窓側だし、応援するほうに移動しなよ」
催眠術にかかったかのように一人、また一人と席を立っていく。こんな異様な事に誰も反対しないなんて……。
それを私はロッカーの前で緊張しながら眺めていた。