日は揺れる心を照らす

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学校に着いたのは8時15分。予定ぴったりだ。

階段を上っていくと、朝学習の見回りをしている先生とすれ違う。
遅いぞ、と注意されたが、軽く謝ってその場を通りすぎた。

後ろの扉を開けて教室に入ると、一斉に私を見てきた。

挨拶をしてくれる人は、いない。
まあ仕方な、


「おはよう!」


知らず知らずのうちに下がっていた顔を上げると、アリババがにこやかにこちらを見ていた。

教室はざわつく。なんで、といった声が多数だ。

私は予想外すぎて声が出ない。そのためタイミングを逃し無視という形になってしまった。

それでもアリババは立ち上がって皆に演説をするように語る。


「お前ら気づかねえのか!? こいつは、志乃は、誰かにはめられたんだぞ!」


「なぜ、そのような事が分かるのでしょうか? その言い方ではヤムライハさんを疑っておられるように受けとれますが」


白瑛が立ち上がる。
クラスの男女トップが睨み合う状態。

これで立っているのは私とアリババと白瑛……。すごい構図だ。


「俺の考えではヤムライハも志乃も誰かにはめられたんだと思う。理由なんて簡単だ。こいつ等はそんな事をするやつらじゃない。それだけだ」


残念。ヤムライハはそういう事をする人物なんだよ。

でも、アリババの考えは好きだ。
そういう理想を堂々と言えるって良いことだよね。
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