下駄箱で内ズックをはく前に、踵へ傾けてみた。
ジャラッと薄気味悪い音をたてて落ちてくる画鋲。
手にうつし、廊下のゴミ箱へ捨ててから教室に向かった。
教室の扉は前と後ろ、どちらも生徒がいて入れない状況。
前はカシム率いる霧の団がたむろっていて行きにくい……。だからギャルとかヤンキーは嫌いだ。
仕方なく後ろ、ドゥニヤたちのほうを選んだ。
「ちょっといい?」
反応無し。みんなで大声でお喋りをしている。
「通っていい!?」
先程より大きな声で言った。それでも退かない。
心苦しいが、強行突破させてもらう。
背中をぶつからせながら進んでいくと、ピスティがぽつりと呟いた。
「通るんなら通るって言いなよ」
言ったのですが……。
「私もぶつかったー。言ってくれないと分かんないじゃん」
はいはい、すみませんねヤムライハさん。
はあ……。行く道間違えた。
だけどこれで分かった。私はこのグループと離れて生活しよう。
そうすれば、いじめられずに過ごせるはず。
まずは……そうだ、白瑛あたりにいこう。