「もういいよ、そういうの」
「どういう意味?」
「志乃さあ、そんな見え透いた嘘つかないでよ」
……やっぱり、バレるよね。
「まさか、みんなが私の悪口言ってたってのも嘘だったの? 私の味方ってのも嘘だったの!?」
「それは違う!」
「やっぱり。教室来たら聞こえたのは嘘って認めるんだ」
それは……。
思わず黙りこんでしまった。
「志乃、私もうあんたを信じられないよ」
「茉李!」
走っていく茉李を、私は大声を出して引き留めた。
「最後に一つ聞いてもいい? 茉李は、今も昔も、私といて楽しかった?」
「そんな訳ないじゃん」
即答だった。
茉李は一回も振り向かずに私の前から消えていった。
高校生の絆なんてこの程度だ。
……あと二年、茉李と話さないで過ごすのかな。
私は袖で涙を拭いてから帰った。
一人での帰り道なんて、久しぶりだった。