泣いてないでさあ、今の発言を取り消してよ。
あれが今まで四年間の本音なの?
なんだか茉李に裏切られた気分だ。高校生の絆なんて、この程度なのかな。
「泣かないで、茉李。クラスの人が来ちゃうから」
「……うん。ありがとう」
そう言って茉李は窓側二列目の一番前の席についた。隣は青舜。
茉李の名字は深沢だから、席はかなり遠い。
……茉李が私を大切に思っていなくても、私は茉李は友達だって思っていればいいのかな?
離れる茉李の背中を見ながら、私はそんな疑問を抱いた。
それから、帰りは茉李の悪口を聞き、翌朝みんなに報告するという事を続けた。
そして四日目の朝。
三日間一緒にいるという作戦をこなしたため、今日は新しい指示を受けることになる。
いつものように悪口を読み上げた私はドゥニヤの言葉を待った。
「志乃さん、今日中に茉李さんに伝えてください。「茉李が言ってた悪口をみんなに言ってしまった」と」
「え!?」
これには他のみんなもざわついた。
「嫌だよ! そんな事したら茉李に嫌われちゃう!」