「さっそく作戦に移りましょう」
ドゥニヤの言葉に従い、私は廊下側の前から二列目に座った。
私の名字は井原。今年は出席番号一番にならずに済んだのでとても嬉しい。
ちなみに、私の隣は七番のザイナブだ。
この学校ではかなり有名な霧の団と呼ばれるグループの一員らしい。
とても恐ろしい不良グループの女性だ。
そんなことを思っていると茉李が教室に入ってきた。
一人でいる私に驚いて近寄ってきた。
「どうしたの志乃。一人なんかでいて」
「言ったじゃん。私は茉李の味方だって。……あのグループを抜けちゃった」
「志乃……」
私だって本当はあのグループにいたい。
たが、それは茉李がいてこそ。
私がドゥニヤに従って、茉李が行動を変えていけば……。
それまでの辛抱だ。
「志乃、ありがとう。本当にありがとう。私、志乃と友達になって良かったって、やっと思えたよ」
……え?
なに、やっと思えたって。
私は今まで茉李と一緒にいて楽しいって思ってたのに。
“やっと”そう思ったの?
今まで楽しくなかったの?