日は揺れる心を照らす

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「茉李ってうざくない?」


二年にあがって二週間。
こんな早々に私の友達の悪口を聞くはめになるとは思ってもみなかった。


「だよねだよね。なんで王様の悪口いうわけ? 信じらんない!」


ピスティがここまで怒ってるところを初めて見た。

王様とはシンドバッドのこと。
どことなく「王」の雰囲気がするため、王やら王様やらと呼ばれている。

実質、ピスティとヤムライハ、男子ではシャルルカンぐらいしか呼んでいないが。


「私、王には昔から世話になってるから凄く傷ついたわ。どう思う、志乃」


「えっ」


いきなり私にきたから戸惑った。茉李は中学からの友達で、ずっと一緒だった。


昨日、クラスの男子で誰が好きかという話題で紅玉とヤムライハとピスティはシンドバッドの名を述べて大盛り上がりしていた。

そこに水をさしたのが茉李だ。


「シンドバッドって女たらしだし偽善者だし私嫌だ。だったらそこらの虫のほうがマシ」


この一言で一気に雰囲気が悪くなった。
紅玉の気の効いた話題転換でなんとか助かったが、ヤムライハとピスティの目付きが変わったのを、私は見逃さなかった。

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