ストレス発散にしては、やり過ぎたか? と思ったが、いちいち気にすることでもないだろう。
地面から袋を拾う。
そこそこの重さがあり、手のひらでポンポンとなげると、ジャランジャランとそれに合わせて心地よい音が鳴る。
すると、わっと歓声が上がった。
「お嬢ちゃん凄いよ! 実はあいつら、最近やってきた観光客でな。タチの悪いナンパをして困ってたんだ!」
「本当にありがとうね! シンドバッド王や八人将に、頼むにも頼めない下らない事件だろ? いやあ助かったよ!」
いつの間にかファレノの周りには人だかりが出来ていた。
その人達から、感謝され、果物を渡され、金を渡される。
気がついたら、両手一杯に物を抱えていた。
ニヤリと口元が緩む。
(そうか! お金がないなら稼げばいいんじゃん!)
才能の新規開拓。
本来の目的には、いつ辿り着けるのだろうか。