船から降り、キョロキョロと辺りを見渡す。
皆、笑顔で楽しそうにしていた。
……さて。
「これからどうしようかな」
勢いで国を飛び出してきたためアテがないのだ。
持ってきたのはご自慢のメイスと少量の金貨。
ワンピース風の飾り気のないクリーム色の服。黒い布で肘までを隠したポンチョ風マントを一着。
余分な服を持ってきてはいないので売ることも出来ない。
途方に暮れていると、
「ねえねえそこの君ー」
「ちょっと遊ばなーい?」
なんとも間の抜けた声が聞こえてきた。
振り向くと二人の男が立っていた。
「遊ぶ?」
「そうそう!」
「そんな物騒な武器置いてさ、女の子らしく遊ぼうよ!」
瞬間。ドスッという音がした。
かと思うと、よろよろと地面に膝をつき、二人の男のうちの一人が腹をかかえ嘔吐し始めた。
メイスで突いたのだ。
ひぃっと情けない声を出す無事だった男。
「遊ぶ金があるのなら私に分けてくださいよ。ね、お兄さんたち」
すると、ごめんなさい、ごめんなさい。と繰り返し呟き小袋を置いて逃げてしまった。