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□File9
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「く!」
一方で、グレイは自分を乗せるメルバに、ジャンバードに似た謎の飛行機械からの砲撃を避けさせていた。
敵ながら凄まじい威力を備えた攻撃である。
「ジャンバード、あの子を援護して!」
『は、はい』
妙によそよそしいジャンバードだったが、直ちにグレイたちに攻撃を仕掛けている飛行機体に向かって砲撃を開始する。
次々と繰り出されるエネルギー弾が、ジャンバードと彼にそっくりな飛行機体の間でぶつかり合う。さらにメルバの目から放たれる光弾も加勢し、段々グレイたちの砲撃が、謎の飛行機械の方を押し返していった。
やがて、一発の光弾が飛行機械のウィングに直撃、墜落した。
「よっしゃあ!超ファインプレー!」
「バカっぽい…」
メルバの上でビシッと決めるグレイ。いくら宇宙警備隊随一の実力者ウルトラマンベリアルの息子とはいえ、やはり子供である。ルイズはモニター越しからそれを見て呆れ返っていた。
「やったのか?」
ちょうどそこでキングジョーを撃破したゼロも駆けつける。
「見て!あのアンノウンの様子が…」
墜落した飛行機械に何らかの変化が見えたハルナが声を上げた。煙を吹いて、ボディのあらゆる箇所から変化が見えてきた。
『…有機生命体ノ、抹殺…』
『…何か悪い予感がする。ハルナ、君は戦闘の心得があるかな?』
その様子を見ていたジャンバードは危機感を感じ、自身の体内に入るハルナに話しかけた。
「へ?え、ええ…ただあくまでも護身用のレベルのものをレオさんからちょっと教わった程度だけど…」
『それで十分だ。部屋の中央の椅子の前に立つんだ。ルイズ様は一旦そこから降りてください』
「あ、う、うん」
ルイズは言われたとおり中央の段差から降り、ハルナが段差の上の中央に立った。
「これでいいの?ジャンバード?」
『ああ。そして叫ぶんだ。「ジャンファイト!」と』
「え、えっと…」
初めての経験で少々ぎこちないが、彼女は格闘技の構えをとって叫んだ。
「じ…ジャンファイト!」
すると、ジャンバードから緑色のまばゆい光が放たれた。ハルナたちのいるフロアにも変化が起こり、部屋の真ん中にあるソファもリング状の物体に姿を変える。
宙に舞い上がり、船の先端から左腕が、ボディのコブから右腕が、ウィングからは両足が、そして最後に顔がついたヘッド部分が飛び出し、金色の瞳を輝かせ、まさしく鋼鉄の武人にふさわしいとなっ
て地上に降り立った。
「な、なにが起きたの?」
何がなんだかさっぱりなルイズは頭が混乱しかけていた。
「凄い…戦闘形態への変形機能が着いてたのね」
移動時の姿と戦闘時の二つの姿を持つジャンバードの機能に、ハルナは感心せざるを得なかった。
「が、ガ○ダム…?」
「それとも…○リッドマン?」
ゼロとグレイは思わずおかしなことを呟いた。
「『ジャンボット』と呼べ!そんないかにもパクリくさい呼び名はやめてもらおうか!」
キャラがかぶられるくらいなら「焼き鳥」のほうがマシとでも思ったのか、ジャンバードもとい、ジャンボットは二人に突っ込む。だが、変形していたのはなにもジャンボットだけではなかった。
あの飛行機械もまた、ジャンボットのように飛行形態から、ロボットの戦士の姿となって彼らの目の前に立っていた。
その姿はジャンボットと瓜二つだが、へその部位に菱形の、胸に散りばめられたコアのようなものが埋め込まれ、所々違いが見られる。何より慈悲も哀れみも込められていないその赤い瞳が特徴的だった。
「お前、一体何者なんだ?」
ゼロが尋ねると、ジャンボットに酷似したロボットはただ一言、静かに言った。
『………ジャン…キラー…』
『やはり、お前だったのか…』
ジャンボットのその呟きは誰の耳にも届いていなかった。
ヴァリヤーグと分かり合うために地下世界にやってきたゼロたち。だがそのヴァリヤーグたちが地上への報復のために作り上げてきた自分たちの兵器に滅ぼされるという想定外すぎる事態。
ジャンボットに似たロボット戦士ジャンキラーとは何者なのか。そして、そんな彼を従えた謎の影の正体は?
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