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□File9
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一方、地上では…。
「フ!」
ミラーナイトのキックが三連続でインペライザーに直撃。一時は仰け反ったインペライザーも右腕に装備された剣で切りつけようと剣を振るう。それを一回目ではひょいと伏せて避け、二度目は白刃取りで受け止め、インペライザーを押し出した。
「よっと!」
次々と繰り出されるエースキラーの連撃をことごとく受け流していくグレンファイヤー。
カウンターパンチを繰り出してエースキラーを突き放す。
「えいっし、肩慣らしもそろそろいいか。来な」
指先で手招きし、エースキラーを挑発する。相手は意思を持たない機械であるため、挑発に乗るとは思えないがここはおいておこう。が、意外にも効果はあった。エースキラーも手招きしてグレンファイヤーを挑発したのだ。
「ははん、そうきやがったか…。俺はな、人真似されるのが嫌いなんだよ!!ってあら?」
苛立ったグレンファイヤーがブン!と拳を振るったが、いとも簡単に避けられてしまい、尻をけられてしまう。
「痛って!!!どこ蹴ってんだこの野郎!ファイヤーイー!!」
飛び膝蹴りでエースキラーの胸元を突き飛ばし、頭をつかみ出し、五回連続で頭突きを食らわせる。
「行っくぜ…一、二、三、四い!!もう一つおまけだ!」
「ギギ…」
「ヒュウ!そろそろ止め刺すとしますかね」
ボウッ!と右手のひらに炎の弾を作り出し、それをぶつけようとした。が…。
「燃え上がれ!ファイヤあああ…あれ?」
これはどういうことだろう。自身が作り出したはずの炎が跡形もなく消滅してしまったではないか。
しかも、なんだか力が抜けていく。証拠にさっきまで燃え上がっていたはずの彼の胸の中に埋め込まれた『ファイヤーコア』が輝きを失っている。
辺りを見てみると、奇妙な霧が立ち込めていた。
「な、なんだあ…?」
油断している間に、エースキラーの光線が彼に、それも股間に炸裂した。
〈スペシウム光線!〉
「ぎぃぃぃぃやあああああ!!!!!」
光線を受けて股を押さえながら悶え苦しむグレンファイヤー。……正直に言おう、見るだけで痛そうだ…。いや、痛い程度で済むのか…。
エースキラーには心がない。だから、グレンファイヤーの弱点をはっきり彼の股間とさだめ、もう一発光線をはなとうとしていた。
なんとなくこう言いたい。『もうグレンファイヤーのライフは0よ!!』と。
「み、見てられないな。援護するぞ!一斉攻撃!」
「「了解!」」
ペンドラゴンでも、今の情けなくも痛々しい光景が目に入り、なんだかとてつもなく可哀想に思ったヒュウガの命令で、オキとクマノは直ちにミサイル発射スイッチを押した。ペンドラゴンのミサイル発射口より、ワイバーンミサイルが発射され、エースキラーに直撃、エースキラーはグレンの近くから後退した。
自分の意思と関係なく力が抜けていくこの現象、何もグレンだけではなかった。
「フン!ハッ!」
ミラーナイトもそうだった。基本的な動きはまだ保ちきれているが、さっきから動きが鈍くなったような感覚に陥っている。
今二連続で打ち込んだ蹴りも、いつもより重みに欠けている。
「アイスウォール」
シルフィードの背中に乗っているタバサは杖を振るい、空気中の冷気をインペライザーの足元にかき集めていくと、インペライザーの足の部分に氷山が出来上がり、インペライザーの動きが一時停止した。
だが、流石に相手が巨体すぎることもあって、段々インペライザーの動きを封じていた氷はひび割れていった。
「今のうちに攻撃するんだ!全砲門開け!」
「了解!!」
ギーシュの指示でマリコルヌ・ギムリ・レイナールがすべての大砲の門を開き、キュルケとモンモランシーは大砲の砲弾を運んでいく。
「お、重い…」
「ほらモンモン。根をあげてないで」
「うぅ…」
細身の体には重すぎたのか、モンモランシーはたった一つの砲弾を運ぶだけで精一杯の様子、キュルケの軽い言葉に「私はモンモランシーよ!」と言い返す気力さえない。
大砲に一発ずつ弾をセットしたところで、ギーシュは叫ぶ。
「よし、撃てえええ!!」
次々と火を噴く大砲は、インペライザーの…主に関節部を狙って直撃した。これはギーシュの狙いで、おそらく関節部の防御が薄いと考えてのことだった。さすがのインペライザーもこれには少し効いたらしいのか、ギギ…と金属音を響かせる。
倒すにはとても至らないが、ひるませるには充分だ。
「よし、シルバー…」
ミラーナイトはインペライザーに向けて、止めの光線を放とうとした。しかし、発車直後にその光線の光は消滅してしまう。
「クロス!…な!?…そんな…」
気が付けば、彼の周りにも奇妙な霧が辺りを包み込んでいる。
「まさか…この霧が我々から力を奪っているのか?」
すると、ミラーナイトに向かって、インペライザーの刃が迫ってくる。それをまた白刃取りで受け止め、押し出してすぐ手刀と上段回し蹴りの連撃で突き飛ばした。
「!」
ミラーナイトはある一点の場所に目が入った。インペライザーやエースキラーが飛び出してきた地面の裂け目から、煙のように霧が噴出されている。
「この霧…先住民が我々への攻撃を容易にするために作られたのか?」
と憶測を浮かべる余裕さえも与えまいと、インペライザーがまたしても剣をミラーナイトに向けて振るってきた。タイミング良く軽いジャンプをしたことで辛うじて避けた彼は、一発蹴りを与え、インペライザーの剣が装備されている右腕に掴みかかり、肘打ちを数打与えた直後、力押しで剣ごとその腕を引きちぎった。
「僕のこの命は、光を受け継ぎし友が守ってくれた命だ。たやすく奪われるワケにはいかない!」
ミラーナイトはインペライザーから奪い取った剣を、インペライザーのちょうど腰に当たる部位にブスリと突き刺した。
「動きが鈍いね。ダイエットしたほうがよかったんじゃないかな?」
ギギギ…と奇妙な機械音を響かせながら、インペライザーは爆発四散した。

一方で股間という急所に攻撃を受けてしまったグレンファイヤーはというと…。
「この野郎……よくもこのグレン様のイケナイとこを屠ってくれたわねぇ…?」
若干ニューハーフ化しながらも、両腕をバキバキ鳴らしながら凄まじくキレていた。
エースキラーとのラリアットのぶつかり合い、
「こんなやつに…」
チョップを繰り出され自分もそれを同じように返し、「手こずるようじゃ…」
後ろ蹴りでエースキラーの足を払い、エースキラーを転ばせた。
「グレン様の名が廃るぜえ!んじゃあ皆さんお待ちかね、あれいってみますか!」
グレンファイヤーは逆さまにエースキラーを持ち上げた。エースキラーには次にどんな攻撃が来るかすぐ理解でき、グレンの呪縛から離れようともがくが、グレンファイヤーはがしっと捕まえて離そうとしない。
「こいつは効くぜ。グレン…ドライバアアアアアア!!」
グレンファイヤーがエースキラーを、地面に大穴があくほどのチカラで叩きつけた。ピキ、ミシミシ…とエースキラーのボディにひび割れが生じ、やがてエースキラーは爆発して消え去った。
「あだだ。ったく、爆発すんならするって言えよ。ま、相手が悪かったな!」
ビシッとカッコつけて親指を自分の方に向けるグレンファイヤー。
これだけならかっこよく見えるかもしれないが、股間を攻撃されたことを考えるとどうも締まらないと気づくことは無かった…。

その頃、ヴァリヤーグの地下世界にいるサイトたちは…。
突如として現れたジャンバードそっくりの飛行機体が、キングジョーと共に地上にいるサイトたちに向けてレーザーを乱発していく。
「うわ!」
爆風で宙に飛ばされるサイトとグレイ。だが、巻き上げられた時サイトはウルトラゼロアイを手に取り、グレイはネオバトルナイザーを掲げた。
「デュア!」
「メルバああああ!!」
【バトルナイザー、モンスロード!】
ゼロに変身したサイトは地上に降り立ち、バトルナイザーから飛び出した光のカードはメルバとなってグレイを背中に乗せる。
「ジュ!」
キングジョーに向かって拳を繰り出すゼロ。だがキングジョーからも拳がゼロの腹に直撃する。少しひるんだところで迫ってきたキングジョーに向けて、ゼロは肘打ちを放ち、連続パンチをキングジョーの顔面にぶち当てていった。
「シャ!ダア!」
しかし、流石に機械なだけあってキングジョーは疲労を知らない。
ボディに凹みが生じてもなおゼロに襲いかかってくる。頑丈な両腕を広げ、ゼロの首を絞め上げそうと手を伸ばすが、それをゼロも両腕を広げて防ぎ、パンチと後ろ蹴りを繰り出してキングジョーを突き飛ばした。
「デルフ、地下水。行くぜ」
頭の上に乗せられている相棒に声をかけると、二本とも元気良く「おうよ!」と答えた。ゼロは二本のゼロスラッガーをそれぞれ一本ずつ手に取ると、彼の左手のガンダールヴのルーンが青い輝きを放つ。
「デアアアアアアアアア!!!」
一閃!残像を残すほどのハイスピードでゼロは一太刀キングジョーの腰を切りつけた。切った直後には、ゼロはキングジョーの背後に立っていた。
一見平気そうだったキングジョーはジジジ…と音を立てながら歩いていたが、ポロっと上半身が落ち、残された足はちぎれたトカゲのしっぽのようにただひたすら歩いていた。やがてキングジョーは分かれてしまった上半身と下半身共に爆発し、ただの金属破片と化した。
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