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□File8
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後悔の念を言葉に発したジャンバード。この時の彼の脳裏に浮かび上がった光景があった。
自分がこの手で殺めていった、無実の異星人たちの無残な最期を遂げた光景が、いくつも…。
始祖の死後人知れず封じられ、その隙にガルト星人に記憶も封じられて利用され、望んでいなかったとはいえ彼の野望に加担してしまったのだ。ブリミルたちの子孫が宇宙正義を掲げる者たちに滅ぼされ、先住民が最終的にこの世界の頂点に立ったところで彼らを傀儡
としたガルト星人が真の支配者となるための計画を成功させるために。
重すぎる罪の意識が、彼の心に宿っていた。
「ジャンバード、あなたが自分の罪を感じているのなら、この私からのお願いを聞いてくれますか?」
前に一歩踏み出して、アンリエッタが口を開いた。
『なんなりとお申し付けください』
「彼らを地下にいる先住民たちの元へ運んでください」
ジャンバードは地上に出され、その中にはサイト・ルイズ・ハルナ・グレイがそれに搭乗した。
今サイトたちはジャンバードの中でモニターから外にいる仲間たちと対話している。
『ではルイズ、サイトさん。それにグレイさんにハルナさん。お気をつけて』
「必ず戻ります。姫様たちも、地上をお願いします」
モニター越しから心配そうに見つめるアンリエッタに、ルイズは大丈夫と言い聞かせるように頷くと、ウェールズが同じように頷いた。
『任せてくれ。サイト君、それにグレイ君。頼んだぞ』
『グレイ、気をつけろよ』
『気をつけてね、グレイ君』
ヒュウガとオキ、そしてクマノも、そしてグレイの主人となったジョゼットはジャンバードで地下に向かおうとする彼に言う。この先
何が起こるかわからない場所に仲間が行くことは、待つ側としては心配でならないのだ。
「任せてボス、ジョゼット。ちゃちゃっと終わらせてくるよ。でもジョゼット、ジュリオってやつの方にいかなくていいのかい?」
この時、まだジュリオは意識が回復していなかった。
『ちゃんと後で、様子を見にいくつもり。目が覚めた時、誰かが見てあげないといけないと思うから』
「じゃあみんな、そろそろ時間だから」
『サイト、ルイズ、ハルナ。くれぐれも気をつけるんだ。隊長命令として言うぞ。「必ず生きて帰ってくる」と』
「わかってるよギーシュ。じゃあ…ジャンボット」
『了解した。これよりジャンバード…発進する!』
モニターの画面が消えると同時に、ジャンバードのエンジンが火を吹き、仲間たちに見送られながらジャンバードはそれに浮かび上がった。
地面に向けてビームを放ち、地下へ続く穴が深々と空いた。
この先に先住民たちが、ヴァリヤーグたちがいる。ブリミル一族の子孫である彼らへの誤解を解くためにも行かなければならない。
ジャンバードはその穴の中へと、直行した。
誰も気がついていなかった。
密かにその船の中に、テファが搭乗していたことに。
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