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□File4
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しかし、その時コバとショーンが現場に急行したが、猫が入るくらいの小さなクレーターが残されていただけだった。
「あのくらいのクレーターを作る隕石は米粒くらいの大きさダヨ」
「あの、そのインセキってそんなに小さくても大きな穴を開けられるんですか?」
テファがエリーに尋ねてみる。米粒サイズの小さな石が身近な動物が入りきれるほどの穴を開けられるなんてハルケギニアの種族から見たらありえないことだ。
「小さな隕石でも、その大きさの何十倍ものサイズのクレーターを作ることができます」
「でもクレーターには何もなかった。だから落下の衝撃で消滅したって話になったんだよな」
そこでエリーはある仮説を立てた。
「もし、地面の下に潜ったとしたら?たとえ小さくても、この一か月で成長した可能性があります」
すると、ピピッと通信の受信音が作戦室中に鳴り渡った。
『ベースタイタン応答願います。こちら黒崎とカイト』
何か住民の頭脳を侵す電磁波が発せられてないか、シュウヘイとカイトは電波受信機を使い、ベースタイタンの見える位置から調べていた。
「何か異常は見えたか?」
『いや、今のところ何も異常は見られません。でも…』
カイトに続き、シュウヘイが口を開いた。
『逆におかしいと俺は思います。まるで何かに吸い取られてるような…』
その時、ベースタイタンを囲う湾の水面から一点、また一点と光が灯りだした。その光が発せられた水面はやがて水しぶきをあげ、その中から一体の巨大な一つ目の怪獣が出現した。
『宇宙化猫ミケ』。おぞましい姿には似合わない、猫の尾が後頭部に生え、かつ猫の鳴き声で鳴くのが特徴である。稲妻状のオーラを発して鳴くミケ。
怪獣出現にヒジカタも命令を下す。
「コバはダッシュバード一号、ショーンは二号に。ティファニアは地上でカイトたちを援護しろ」
コバ、ショーン、ヒジカタは格納庫に安置されたダッシュバード一号二号、ダッシュマザーに搭乗し、シートベルトを締める。ここまでは悪くなかった。が…
「…どうやって操縦するんだっけ?」
防衛チームでは本来言ってはならないことを口にしてしまった。いや、この時のコバとショーンは本当に忘れていたのだ。現地住民と同じように、忘れてはならないことが彼らの頭の中から消えてしまったのだ。
「落ち着け俺!確かこれで…」
何とか記憶の糸を探るコバが押したボタン。それは発進のためのものではなく…
ズドオオオオオオオオオオオオオオン!!!!
「「…」」
ミサイル発射スイッチだった。格納庫内部で使ったものだから案の定大爆発を起こしてしまった。
「こーわしたこーわしたー」
ショーンは馬鹿にするように歌いだした。
「ここ、壊してなんかないよ?」
対するコバはとぼけたフリをする。
「もしかして、忘れてる?」
デスクの上で一体どうしたのだ?と言ってるかのようにエリーは首を傾げた。
『エリー、ダッシュマザーに一旦二機を格納してくれ!』
ヒジカタの命令でエリーは遠隔操作システムを用い、二機のダッシュバードをダッシュマザーに格納する。ダッシュマザーは格納庫からベルトコンベアで運ばれ、発射口から浮き上がる。いざ出撃の時だ。
「よし、でも…」
どうやったら操縦できるんだっけ?ヒジカタにまで記憶障害の影響が出ていた。
「これ、だったか?」
ヒジカタはハンドルを横に押し倒した。
すると、最近子供たちに流行りのベ○ブレー○並の勢いでダッシュマザーは大回転し始めた。
「「「ぎゃああああああああああ!!!!」」」
ヒジカタ、ショーン、コバの悲鳴が、通信を通してエリーの耳に入っていく。
そして…
「なぜ戻ってきたんですか隊長?」
目を回しながらヨロヨロとその場でへんてこダンスを踊る三人がエリーのいるベースタイタンの作戦室に戻ってきた。
「えっ、なんでって?」
とヒジカタが言った瞬間コバとショーンはよろめいたままのヒジカタに押し倒され、コクピットへ繋がってる扉にまた押し戻されてしまう。
ショーンの場合、ダッシュマザーに再び搭乗、しかし操縦の仕方が分からず、また駒のように回転するダッシュマザーの中で苦しむハメに。
「OOOOOOOOHHHHHHH!!!!」
そしてコバは奇跡的に出撃はしたが、まだベルトコンベアで運ばれている格納庫からいきなり発車させたため、口の中が空気抵抗で浮き上がってしまった。
なんとか外には出たものの、高く上がっては落ち、高く上がっては落ちの繰り返し。辛うじてミケの目の前にダッシュバード二号を浮かせた。
「よーし、ミサイル発射!」
さっきはレバーにあったトリガースイッチを押してミサイルを放っていた。だからその偶然得た知識を生かすはず、と思った人もいただろうが、残念なことにコバが使ったのはミサイル発射のスイッチではなく、
「…あれ?」
脱出レバーだった。
そのままコバは「DASH!」とカメラ目線でキメポーズを決めたが、全然かっこよさを見せつけられず、海にドボンと落ちた。
「………もう、海に沈んでいてください」
さらっと怖いことを言うエリーだった。
「なんでそんなに落ち着いてるの?あっ、アンドロイドだからか」
ヒジカタの一人言を他所にエリーは急いでミケの能力を見極めようと、自分の頭に搭載されたCPU、そして目の洞察機能を使う。
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