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□File3
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「ちょっとダイゴ、どこ行ってんの!?ガッツウィングから反対側なのよ!?」
ダイゴに続き、サイト・クリス・レナの三人も後を追った。
その人影の正体は、謎の声に取り付かれた泥棒だった。きっちりと刀を担いでいる。
「おい!ここは危ないぞ!早く避難…」
とダイゴが彼に近づいた瞬間、彼は突然刀を引き抜き、ダイゴに振り下ろした。が、それに気づいたクリスは自分も刀を引き抜き、男の刀をダイゴに届く前に防いだ。
「ほうやるな小娘。拙者の太刀筋を防ぐとは」
「ありがとうクリス隊員」
「いや、不思議と今の太刀筋を見たことがあった気がしてな」
「…お主とお主。人なのか?」
男の視線の先は、ダイゴとサイトに向けられていた。
「だが邪な気は見えぬ。あっ、失敬したな」
男は殺意を消し、刀を鞘にしまい込んだ。同時にクリスも刀を鞘に収めた。
「あなたは、一体誰なんです?」
ダイゴが尋ねると、その男の姿は一瞬にして姿を変えた。その姿はまさに戦国の世の象徴、サムライだった。
サイトたちはもちろんその変わりように驚いていた。ただ、クリスの驚きだけは、他の三人とは違っていた。
まるで懐かしき人とまた会えたような…
「拙者の名は錦田小十郎景竜。肉体がないので、この盗人の体を借りている」
「錦田景竜!?」
間違いなかった。以前にクリスが話した師匠のサムライ、錦田景竜だった。
クリスの身は震えていた。そしてその目にみるみる内に涙が溜まり、溢れていく。
「師匠!」
クリスは景竜の胸の中に飛び込んできた。
「ぬおお!?なんじゃお主は!?」
さすがの景竜もクリスほどの美女に飛び付かれ驚いてしまう。
「またこうして会えるなんて、…夢のようです…」
「ちょちょ…くくくクリス隊員!いいあいきなり抱きつくなんてふしだらよ!」
レナが怒鳴り出す。ルイズの特徴である、興奮した時によく発する頭文字の連呼だ。
「はっ離れてくれ!拙者は主のような美女とは無縁じゃ!」
その数分後…
「私を、知らない?」
クリスが落ち着いたところでようやく場が収まった。
「どこの誰かと間違えたのではないのか?残念じゃが、拙者は主とは初対面じゃ」
クリスは落胆した。仮想世界だとわかっていたはずだが、やっと会えた師匠が自分のことを忘れたどころか知りもしてなかった。
「……」
「そう落胆するな娘よ。拙者は放浪の旅を続けてたからな。もしかしたらその最中に会っていたかもしれん」
いや、そんなはずがない。師匠は昨年のあの日、怪獣を封じた直後、その戦いのダメージで自分の目の前で死んだ。初めて会ったときは、目の前の姿よりも年老いていた。
「クリス…」
サイトは宥めるように彼女の肩に軽く触れる。
「ああ、済まない…サイト」
「俺は景竜を安全な場所に。ダイゴとレナはガッツウィングで宿那鬼の様子を。まだ動いてないが油断はできない」
「「了解」」
ガッツウィング1号に乗ったレナ、そして2号に乗ったダイゴは上空から宿那鬼のバラバラの体を見ていた。
バラバラだった宿那鬼の体は地面に一度潜り込むと、地響きと共に、すべての体のパーツが一つとなって地面から這い出てきた。
「宿那鬼が復活した…!」
ダイゴとレナは、思わず声を漏らした。
宿那鬼はダイゴのガッツウィング2号、レナの乗る1号に向かって炎を吐き出した。
「うぉ!」
辛うじて避ける二機だが、一発の攻撃だけでは終わらず、宿那鬼はもう一度炎を吐いてガッツウィングを撃ち落とそうとする。
「っくそ!レナ、攻撃だ!」
「わかってるわよ!」
二人がトリガースイッチを押すと、ガッツウィングよりビーム光線が発射され、宿那鬼を痛め付ける。
「グゴゴ…」
しかし、まさに鬼の形相らしく宿那鬼は攻撃されていく内にだんだん怒りを滲ませていく。
「よし、背中からなら…」
ダイゴの2号が宿那鬼の背後に回り込み、2号の必殺兵器『デキサスビーム』を発射しようとしたその時、
宿那鬼の後頭部の髪が浮き上がった。その髪に隠れていた、宿那鬼のもう一つの顔が露になり、ダイゴのガッツウィング2号に向けて
突風を噴射した。
「うわっ!」
2号は火を吹きながら地上へと落下していく。
「ダイゴ!…こいつぅ!」
仲間を撃墜されたレナも逆上し、再び宿那鬼にビームを放つ。墜落しようとするダイゴの2号だったが、墜落寸前のところで神秘のアイテム『スパークレンス』を掲げた。
「ティガ!」
ダイゴの体はスパークレンスによって光となり、姿を変えて巨大化していく。
その体は赤、青紫、銀の三色に染まり、その白き瞳は優しさと勇敢さを備え持っていた。
超古代の戦士『ウルトラマンティガ』が宿那鬼の前に姿を現した。
「デュ!」
宿那鬼に向けてティガはラッシュパンチを繰り出す。宿那鬼もティガに対抗して回し蹴りを放つが、ティガはそれを伏せて回避、宿那鬼の体を捕まえると、自分の後方へと巴投げで投げ飛ばした。
「タアア!」
「グフッ…!」
形勢はティガの方がやや優勢のようだ。ティガの手から放たれた光弾が宿那鬼にヒットする。
『ハンドスラッシュ!』
「ヌォ…」
宿那鬼に近づき、さらなるパンチやキックなど追撃をするティガ。宿那鬼の腹を殴り、連続回し蹴りで顔面を蹴る。
しかし、宿那鬼もずっとやられっぱなしでいられるはずがない。ティガが宿那鬼の背後に回り込んだ時、宿那鬼の髪の下に隠れていたもう一つの顔から突風が噴射され、ティガは大きく仰け反ってしまう。
「グゥ…」

ティガが怯んでる隙に、宿那鬼は山の中に手を突っ込み、引き抜くとその手には磨きあげられた刀が握られていた。刀をブンブン振り回し、凄まじい気迫を出す宿那鬼。
「フン!」
そこから宿那鬼の反撃が始まった。宿那鬼の刀捌きは半端ではなく、ティガはその猛攻から避けるのに必死だった。宿那鬼は時には刀を振り、時には蹴りを加えてティガを圧倒する。まさに鬼神と言われるが所以の戦いぶりだった。
「グアッ!」
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