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「何ボーッとしているのだ!やらないのからこっちから行くぞ!行けテペト!ルナチクス!」
二体の怪獣はゼロを踏み潰そうと走り込むように迫ってくる。ゼロは踏み潰される前にいつもの約50メートルの体に巨大化、近づいてきたルナチクスを押さえつけ、蹴り飛ばした。
「デュア!」
ゼロはペテロに飛びかかり、連続パンチを喰らわせた。しかし、慣れない暗い空間の中では、光の存在である彼は思うように力が発揮できない。
よりパワーを上げるため、ゼロはブレスレットを鎧に変え、キーパーアーマーとして装備し、ペテロを蹴り飛ばす。
だが背後からその攻撃の隙を突き、ルナチクスがゼロの背後からぶつかってきた。
「グワッ!」
月の大地を転がされるゼロ。ペテロはそんな彼に水を体内から噴射した。ウルトラマンは寒さに弱い。この宇宙空間は零下何百度にもなるので、水をかけられるだけでも非常に危険なのだ。
水を浴びせられてるゼロにルナチクスは、目から放つ光弾を次々と撃ち込んでいく。
「ウワアアアア!」
しかも、ここでゼロを更なる危機に陥れる事態が発生した。クリスはホークの窓の外を見つめ、あることに気が付く。
「!また暗くなっていく…!」
月面がまたさらに暗くなっていたのだ。この時、ハルケギニアの大地ではもうじき日が暮れ、夜が訪れようとしていたのだ。
ザンバ星人はこれを狙っていた。日時や戦う場所、そして敵の弱点をしっかり調べあげ、時が来たらそこを突いて討つ。まさに巧みの技と言えた。

だが危機はゼロにだけ訪れた訳ではなかった。
コトッ…コトッ…
ホークの内部から足音が聞こえてきた。サイトが帰ってきたのか?ルイズは操縦室の扉を開けると、彼女は刹那的に驚愕の表情を浮かべた。
「あ、あなたは!」

一方でゼロも苦戦を強いられていた。
ペテロに飛びかかるも、逆に彼はペテロにのし掛かられてしまい、身動きを封じられてしまう。
しかも夜が訪れようとしているせいで、体が冷え始めている。水をかけられたこともあって凍りついていた。ペテロの重みと共にルナチクスがエネルギー弾を連発してくる。
「グォォ…!」
ピコン、ピコン、ピコン…
カラータイマーがエネルギーが尽きかけているのを知らせ、ビームランプも点滅し、アーマー装備の限界を知らせていた。
「デュ…ア!」
無理やりのし掛かるペテロを蹴り飛ばして抜け出すが、体が凍りつくように動けない。
「もう限界のようだな!」
ザンバ星人が勝ち誇るように叫んだ。
「さあ、ペテロとルナチクス!止めを刺せ!」
「くっ…」
「ガアアアア!」
高らかに吠えるルナチクス。ペテロと共に、片膝を着いているゼロに近づいていく。
ゼロ、まさに絶対絶命のピンチだった。
「ハハハハ!ウルトラマンの一人を抹殺すれば私もこの宇宙で名を上げた戦士となるだろう!!」
「そうはさせんぞ!」
突然どこからか声が轟いた。その光は赤い発光体としてペテロとルナチクスを突き飛ばした。
「グゴオオ!?」
「なっ!?」
赤い発光体はゼロの前に降り立ち、その姿を現した。特徴的な二本角に父とよく似た赤いボディと顔立ち。
ウルトラの父の息子であるウルトラ六番目の戦士。名は『ウルトラマンタロウ』!。
「ハアアアア!」
タロウは高く飛び上がながら空中を舞い、ルナチクスを蹴り飛ばした。
〈スワローキック!〉
蹴り飛ばされたルナチクスは、偶然にもザンバ星人の真上に落ちてきた。
「ぎゃああああ!」
ズン!
ザンバ星人は悲鳴と共にルナチクスの下に潰れ、悲鳴と共に消えていった。
ルナチクスは立ち上がり、眼球を乱射してタロウを攻撃するが、対するタロウは見事な身のこなしで次々と避けていった。
ゼロは今ふらつきながらも立ち上がっている。タロウはすぐ自らのエネルギーをゼロのカラータイマーに流し込んだ。
「タロウ…あんたまで…」
「話は後だ。一気に行くぞ!」
「ああ!」
ゼロはペテロ、タロウはルナチクスを捕まえ反対側にに立つと、相手側の方へ駆け込み、捕まえていた怪獣同士をぶつけた。
「ゴオオ!?」
怯んでいる隙にゼロはL字型に、タロウはそれとは上下左右が反対向きに両腕を組み、必殺光線を同時発射した。
〈ワイドゼロショット!〉〈ストリウム光線!〉
二体の月を象徴とする怪獣たちは、二人の戦士たちの攻撃で大爆発を起こし、消え失せた。
「助かったよ、タロウ」
「以前ジャック兄さんから聞いただろう?日付不定で君を試すと?」
そう言えば、確かにそうだ。以前メフィストと戦った時もジャックが宇宙警備隊に戻る資格があるかを確かめに来たことがあった。タロウも同じ理由で来たのだ。だがそれだけではなかった。
「君に知らせなくてはならないことがある」
「なんだよ?」
「私やジャックを初めとしたウルトラ兄弟の中には、一度は命を落とした戦士がいるのを知っているな?」
「ああ、でもなんとか生き返ったんだろ?ハルナみたいに」
昭和時代、初代ウルトラマンをはじめとし、ウルトラマンジャックからウルトラマンレオまでのウルトラ戦士が命を落としたことがある。中にはバラバラになって殺されるという残酷な死に様を見せたこともあった。
だが、彼らは光の国の高度な科学力や他のウルトラマンたちによって復活し、最終的に自分を一度殺した敵を倒したのだ。
ウルトラマンメビウス曰く「そんな保証はない」またGUYS総監サコミズ曰く「奇跡的なこと」だった。
次にタロウが言ったのは、その奇跡を潰す事実だった。
「新しい命のエネルギーの精製が不可能になった。もう誰も生き返らない」
「なっ、なんだって!?」
「何者かが銀十字軍のデータベースに保管されていた命のエネルギーの精製データや必要な器具を根こそぎ破壊してしまったのだ」
「そんな、あそこは俺たちにとって重要な機関だろ!警備だって万全なはずだ!」
「確かに警備は万全だった。ババルウ星人ほどの変身能力の持ち主すら今は入れないほどにな。にもかかわらず侵入を許した。
こんなことは考えたくないが……我々ウルトラ戦士に裏切り者がいる」
衝撃的事実が、ゼロの胸に突き刺さった。
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