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□File4
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一度脅せば大人しく従う。そう思っていたが、その衛兵は彼女の予想と大きく違う返答をした。
「私がお仕えしているのはシャルロット王女。お前のように人を人とも思わない、それもあの王権の剥奪者の娘を助ける義理はない。死んでしまえ!」
グサリと剣で胸を貫かれたような感覚だった。衛兵はイザベラに今までの恨みを込めた言葉を吐き捨てて立ち去っていった。
もう逃げる気力もない。誰も助けに来ない。
さっきまで死にたくないと必死だった彼女は、その場にへたり込んだ。
そっか、誰も助けに来ないんだ。みんなあの人形娘の方がいいんだ。騙してたんだ。
自分が死んだら父上とあの人形娘は自分をどう見るだろうか。やはり見下すか何も知らなかったように忘れるだろうか。
魔法の才に乏しく、配下から愛されず、父にも愛情を注がれなくな
った自分はなんのために存在していたのか…
「ふ…ふはは…あはは…」
渇いた声で自らを嘲笑し、床の上に倒れ込んだ。
瓦礫の一部が自分の真上から落ちてくる。これで最後か…と思った時だった。
………………………

たった今落ちてきたはずの瓦礫がいつまでたっても落ちてこない。うっすらと目を開けると、そこには変わった格好をした青年がいた。
「ナーイスキャッチ!見たか俺の超ファインプレー!」
その青年が落ちてきた瓦礫をキャッチしていたのだ。しかし、決して軽くなかったのか、邪魔にならない場所に置いた瞬間手をぶらぶらと振った。
「あ〜いてて!やっぱ気張りすぎたか?」
なんで…?イザベラは顔をゆっくりあげた。
「あなたは…?」
「おっ、怪我ないか?ってありまくりだな。すぐ脱出するから捕まってろ」
最初は嘘だと思った。だって自分のことを助けるやつなんて一人もいないと思っていた。だがよく見ると、彼女の知らない人間だった。青年はイザベラを抱き抱えると、落ちてくる瓦礫を潜り抜けながら宮殿の外へと走り出した。
ズサササ!とスライディングを決めると同時に二人は脱出に成功した。
「セーフ、ホームイン!っと」
青年は空を見上げた。ナースの攻撃はいまだ地上に向けられたままで、宮殿周辺の街は不味い状態だ。
街から離れた方が良さそうだ。青年は街から少し離れた場所の草原に置かれた岩の影に彼女を置いた。
「ここを動くなよ。すぐあいつをなんとかする」
「あなたの、名前は…?」
「俺?ああ言ってなかったな。俺はアスカ・シン。『不死身のアスカ様』ってとこかな」
「アスカ…様…?」
安心したせいなのか、イザベラは岩にもたれかかる形でまどろんだ。アスカは眠りについた彼女に背を向け、懐から変身アイテム『リーフラッシャー』を出し、空高く掲げた。
「ダイナあああああああああ!!!!」
「さあ壊せナースよ!下等生物に『レイオニクス』である私の興を削いだ愚かさを思い知らせるのだ!」
ナースを操るゼットン星人は遠くで高笑いを上げていた。
「全くあの小娘…一人別のレイオニクスを殺せるところでこんな場所に呼び出しおって…ん?」
宮殿から離れた草原より目映い光の柱が現れ、空に届くほど高く登った。
「まさか…この光は!」
その光の柱より現れたのは、この次元でもシュウヘイが元いた次元の地球とは別に存在する地球に出現した戦士だった。
アスカが防衛チーム『スーパーGUTS』に入隊したばかりの頃、宇宙空間を漂っていた彼の前に現れた『光』が彼と一つになることで誕生した、光の戦士。
「あれが噂の…ゼロ?」
「違う。だが…彼もまたウルトラマンだ」
その名は、『ウルトラマンダイナ・フラッシュタイプ』。
「ジュワ!」
「くそ、ウルトラマンめ!この星でも我々の邪魔をするか!さては『レイオニクスバトル』の噂を聞き付けたか!ナース、殺れ!」
ウルトラマンの出現という予想外な事態にゼットン星人は驚くも、すぐ戦いに集中する姿勢となり、ナースをダイナ討伐に向かわせた。どくろを巻きながらナースはダイナに接近する。
ナースからの攻撃に備え、対するダイナもジリッ…と身構える。先ほどから自分の周りを回っていくしか動きを示さない。何か狙っているのか。と次の瞬間だった。
ナースの体よりビームが放たれ、ダイナを襲った。
「ウォ!」
バンバンバン!
マシンガン並の勢いで放たれる光はダイナに向かって雨のように降り注ぐ。
「この!」
いざ反撃に転じようとしたダイナだが、ここで思わぬ事態が発生する。
砂煙に紛れ、ナースが姿を消したのだ。一体どこに消えたのだ辺りを見回そうとしたその時だった。背後の砂煙の中を掻い潜ってナースが姿を現した。
「ギェエエエ!!」
そしてダイナの肩にガブリと噛みつく。
「ウォアア!」
必死にもがきながら離そうとするダイナだったが、ナースの顎の力は半端ではなく、なかなか離れようとしない。それどころか、ナースはダイナの身体中を縄で縛り付けるように絡み付いていく。
ミシミシ!
その圧力はそこらの鉄をも潰してしまうほどの勢いだった。
「ヌォォオオ…!」
このまま締め上げられた果てに潰され、身を二つに分けられるにはいかない。
「ハアアアア…ダアッ!」
ダイナは額に埋め込まれた宝珠『ダイナクリスタル』を赤く輝かせると、一瞬だけ半透明となり、そして一瞬にして先程までの青と赤の模様から、真っ赤なボディに変わった。
多数の光線技と素早さと引き換えに超絶的なパワーを誇る赤の戦士、ウルトラマンダイナ・ストロングタイプ。
「デア!」
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