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□File3
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その逃げた先で、偶然にも翼人たちと鉢合わせした。その途端、人間たちは非情にも翼人たちを罵る言葉を上げた。
「お前たち翼人のせいだ!お前たちが村から出ていかなかったせいであの怪獣どもが現れたんだろ!」
「屁理屈を申すな蛮人め!我々は争いを好まぬ!だいたい、貴様らが我々にとって重要な領域に足を踏み入れ、勝手に自分たちのものとほざいてるだけであろう!」
同じ犠牲者同士なのにこんなところで言い争い。こんなことをしても何も解決しないのは、本来ならわかるはずなのに…
「や、やめるんじゃ皆の者!人間の方々も言い争いをしてる場合では…」
翼人の族長はなんとか止めようとしたが、老いている影響もあって自らの体力を削られてしまい、膝を着いてしまう。
「とっととでてけったんだよ!」
「ふざけるな!だから貴様らは野蛮なのだ!」
言い争いは、遂には暴力にまで発展してしまいそうになった。人間たちは斧や弓を、翼人たちは弓や槍を手に精霊の力を行使しようとした。
その時だった。
バアアアン!
凄まじい銃声がその場一帯に響き渡った。
突如の、何かが爆発したようなその音は、翼人や人間たちを聞こえてきた方に振り向かせた。
「皆の者、争ってはなりません!武器を下ろしなさい!」
ZAPクルーにタバサとキュルケ、ヨシアとサム、そしてアイーシャら三人の翼人だった。
「アイーシャ様!?」
「サム、ヨシア!」
翼人たちは驚いていた。なぜ人間たちの場所に自分たちの族長の娘がいるのか。対するエギンハイム村の人間たちも同じだった。翼人の肩を持つヨシアはともかくサムまでなぜ翼人の元に?
「サム、お前まで翼人なんかの味方をするのか!あんな奴らに!」
遂には村人たちは、今まで自分たちの仲間だったサムを見下すようなことを言い出した。
「なっ…」
サムどころか弟のヨシアにアイーシャもこれには目を開かされた。現金なものだ。自分たちのように翼人を敵視した仲間を、ただ翼人たちの近くにいると言うだけで裏切り者扱い。
サムはこのときようやく自分の過ちに気づいた。自分も今の彼らのように、相手のことを全く知りもしないのに勝手な言いがかりで化け物扱いしていたのだ。
キュルケやタバサも自分たちの握る杖を、今にもおってしまいそうな勢いで握りしめていた。
一方でそんな彼らを尻目に、ガクマの兄弟たちは、避難していた翼人や人間たちを目標にのしのしと迫ってきた。
「うわあああ!来るなっ来るな化け物おおお!」
が、その時だった。突如、ガクマたちの真横から空にも轟く雷撃が襲いかかった。
「ライトニング・クラウドじゃない…」
風系統の魔法でトップクラスの威力のある雷魔法、ライトニング・クラウド。その雷にしても今のはスクウェアクラスのメイジでも放てる威力ではない。
その雷を放ったのは…
「グァオオオ!!!!」
黄色のたてがみに後方に伸びる二本の角を持つ怪獣だった。
またしても怪獣が現れたことに誰もが、より深い絶望感を抱いた。翼人たちを除いて。
「あれは…」
「アイーシャ、何か知ってるの?あの怪獣のこと」
キュルケに尋ねられたアイーシャはこくっと頷いた。
「はい、あれはほんの少し前にこの地域にいたものです。私たちに対してとても友好的な怪獣で、人間たちとのもめ事で精神を病ませていた私たち翼人の心を癒してくれていました。でも、まさかあの巨大な姿だったなんて…」
あの怪獣は、アイーシャの記憶の中では等身大、人と同じくらいの体型だった。だがなぜ、巨大化したのだろうか。
「あの怪獣…確か…キングバモス!」
オキは興奮して声を上げた。
とある怪獣の島で王の座にあった、人類に対しては友好的ながらも起こったら手をつけられなくなるほど恐ろしい怪獣。そのパワーは宇宙警備隊、エリートの集まる『勇士司令部』のウルトラマンネオスをも圧倒した。
その名は『変貌怪獣キングバモス』。
「ガアアアアアアアアア゛アァアァ!!!!!!」
アイーシャはそのバモスの叫び声にある感情を抱いた。今の自分たちと同じ、負の感情…
「怒っている…」
バモスは怒りに怒るほどそのパワーが普段より圧倒的に上昇し、なおかつ自分の体から電気を発生させることができる怪獣。そのパワーは計り知れないものだ。
バモスの怒りの鉄拳はガクマたちの強固な体を砕く勢いで放たれた。
その鋼のごとき尾でさらなる攻撃を放つバモス。
さらには一本角のガクマを逆さにして持ち上げ、バックドロップで後方に叩きつけた。
「すごい…」
誰もがそう思った。バモスのパワーは凄まじいものだった。同時にその力が自分たちにも向けられる、といった不安が人間たちの心をを飲み込んでいた。
面白く無さそうに黒マントの男はそれを見ていた。
「たかがキングバモスに我が超獣の力が…さっと始末しろ!さもなくば…」
その苛立ちはガクマたちに伝わり、もし倒せなかった時の恐怖が二体を鼓舞させた。
「ゴオォォ!!!!」
「グガ!」
二対一。最初は優勢だったバモスもやはり二体の怪獣を相手にするのは不利だった。ガクマたちの角の攻撃がバモスの足を刺す。突進攻撃が繰り返され、バモスはまともに動けなくなってしまった。
そして、二体の怪獣は同時に石化光線を放ち、バモスは足元からだんだん石化してしまい、そして遂には完全に石像となってしまった。
ガクマたちはまだ終わるつもりはなかった。自らの身を引っ込め、片足で地面を擦りながら身構えている。
「まずい!突進して石になったバモスを砕く気だ!」
「オイラが行く!」
グレイはすぐ飛び出し、石になったバモスを救うべくバトルナイザーを掲げた。
「ゴルザ!」
【バトルナイザー、モンスロード!】
バトルナイザーより光のカードが飛び出し、超古代怪獣ゴルザとなって地上に降り立った。
「ガアアアアア!」
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