ウルトラマンゼロ サーヴァント(完結)

□File6
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阿修羅を思わせる怪獣『アシュラン』。アシュランはサイトたちの方を睨み、炎を吐き出した。
「ギオオオオオオオ!」
「避けろ!」
ワルドの呼び掛けで彼らはアシュランの炎から逃れた。
「大丈夫かい?ルイズ、みんな」
「こく…」
「だ…大丈夫です」
タバサは頷き、ギーシュは声を震わせながらも答える。
「あら?ダーリンは?」
「サイト?」
キュルケの一言で一同は気付いた。サイトはいつの間にかいなくなっていた。
「まさかあの怪獣に!?」
予測などしたくないシナリオを想像してしまうルイズ。だがその時、
青き光が一瞬だけ夜空を照らした。
「デュアアア!」
ゼロが空からアシュランにキックを喰らわせた。サイトはアシュランの火に紛れて変身していたのだ。
「ウルトラマンゼロ!」
「タイミングがよかったな。ここはウルトラマンに任せよう!」
ワルドはルイズたちに手招きする。
「でもサイトは!?」
ルイズたちはサイトがウルトラマンゼロであるのに気づいていない。
きっとさっきのではぐれてしまったのだと思い込んでいた。
「このままじゃ僕たちも巻き込まれる。来い!」
「ルイズ、急ごう!」
背中を押すギーシュに、ルイズは一同と共に仕方なくラ・ロシェールの港町へ急いだ。
ゼロはルイズたちが港町に急ぐのを確認すると、アシュランに連続でチョップを喰らわせた。
「デュア!!デッ!」
「ギオオオ!」
だがアシュランも負けずゼロにキックを喰らわせる。
「ギオオオオオオオ!」
「グア!」
そしてゼロに向けて火を吹いた。
「ギオオオオオオオ!」
「グッ…」
凄まじい灼熱の炎に対抗し、ゼロはブレスレットから盾を取り出して防いだ。
〈ウルトラゼロディフェンダー〉
そして炎が止み終わってすぐアシュランの足を足を払った。
「デュア!!」
さらにアシュランの上に乗って、アシュランの顔を殴りつけた。
「ダッ!ダッ!デュア!!」
立て続けに攻撃を受け、アシュランはゼロの背中を蹴って逃れた。
「ギオオオ!」
「デュアアア!」
ゼロはアシュランと対峙した。その時、月の光に照らされた周辺が真っ暗になっていく。
「月が重なろうとしている…」
その日は『スヴェルの月夜』と言って二つの月が重なる日だった。
アルビオンは浮遊大陸。この日の翌日にアルビオンはラ・ロシェールの港町に近づくことになっていた。
その時遠くでゼロとアシュランの戦いを見ていた男がいた。その男の格好はサングラスをかけ、壮年ながらまだ元気な部分を出してい
た。
「月が重なるのを利用するか…」
サングラスの男はサングラスを外し、右手を天にかざした。すると、彼は白く輝く光に包まれ、巨大化していく。
「シャ!」
ウルトラマン兄弟四番目の戦士、ウルトラマンジャックが現れた。
「なっ、ジャック!?」
突然の参戦者にゼロは唖然となった。
「光の国以来だな」
「なんでこの星にいるんだよ!?」
「話しは後だ。まずこいつを倒してから聞かせてもらうぞ!」
「言われなくてもやってやるさ!」
二体のウルトラマンはアシュランに向き直って身構えた。
「デュア!!」
「シュア!」
「ギオオオオオオオ!」
だんだん辺りが暗くなっていた。二体のウルトラマンはそれもお構い無しにアシュランを殴りまくった。
「ダッ!ハッ!シュワ!」
「ジュアッ!ダッ!デュア!!」
「ギオオオ!?」
アシュランは猛攻に耐えきれず地面に倒れ込んだ。
二体のウルトラマンはアシュランの腕をそれぞれつかんで無理やり立ち上がらせ、アシュランの腹を蹴りまくった。そしてアシュランを思い切り背負い投げた。
「ダッダッデュア!!」
「ハッハッイヤ!」
アシュランはヨロヨロと再び立ち上がった。二体に向けて牙を剥き
出している。その時、二つの月が重なった。
「今だ!」
「おし!デルフ!行くぞ!!」
ゼロはゼロスラッガー(デルフ)を抜き抜いた。
「おっしゃあ!」
二体のウルトラマンはアシュランを囲むように立ち、そしてジャンプし、空中回転しながらアシュランの首を攻撃した!
〈ハードスライサー!〉
「ヤアアアアア!」
〈ゼロスラッガーアタック!〉
「デュアアアアア!」
ズバシュ!生々しくも、きれいにものを斬った音が響いた。
「ガ…アア…」
アシュランは黄色い血を吐いて爆散した。

ラ・ロシェールの街 サイトとジャックの人間体『郷秀樹』はようやくルイズたちが宿に入るところを目撃し、その宿の前に歩いてきた。
「なかなか腕をあげたな。あれだけ訓練をサボってたというのに」
「と、当然だろ。それにしてもなんで…あんたはこの星に?」
「いきなり予定外の星にさ迷ったんだ。兄弟全員をお前の捜索に使わせるなんて全く、世話の焼けるやつだ」
どうもハルケギニアは、光の国からかなり離れた場所にあるようだ。
郷いわく、ウルトラの父はウルトラ兄弟を総動員でゼロの捜索に当てらせたが、かなり難航していたらしい。
「うっさいな…」
拗ねるようにサイトは言った。
「レオの奴はかなり怒ってたぞ。ゼロ、帰らなくていいのか?」
「俺はこの星にしばらく残るよ。そうレオや親父たちにも言ってくれ」
後が怖いけど…とサイトが後で付け加えたのは別の話。
「結局残るのか…まあ、お前の安否確認だけできてよかったよ。あ、それともう一つ確認したいんだが」
「確認ってなんだよ?」
「ベリアルさんの息子さんが失踪したらしいが、知らないか?」
「ベリアルのおっさんのガキ?いや、知らないけど…」
実は、ベリアルには我が子がいた。確か、かなりの父親嫌いで学校ではかなりの悪ガキだって噂、ゼロとしての記憶がサイトにそう語っていた。
「もし見かけたら、受信に時間がかかるだろうがウルトラサインで知らせてくれ。最後にゼロ、忠告する」
「何だよ?」
「俺たちの敵は奴だけじゃない…何か恐ろしい敵が他にもいるはずだ」
郷はそう言って去って行った。
「恐ろしい敵ってなんなんだ…?」
サイトはなんだろうと不思議がった。
以前確か、モット伯爵に化けたアパテーは『冥王』という言葉を口にした。何か関係あるのだろうかと思ったものの、考えてもわからないのでとりあえず宿に入った。
ちなみに宿に入ったサイトはルイズに涙目で睨まれた。

食堂で食事をとる時、サイトは目を開かせていた。
「すっげえ豪華!金ぴかだな!」
スプーンも金そのものでできてるようだ。なんて贅沢なのだろう。
「おいおいあまり騒がないでくれ」
「あれ、ルイズはどこ行ったんだギーシュ?」
サイトはいつの間にかルイズがいなくなっているのに気付いた。
「子爵と一緒に外出したみたいだけど…明日の船の交渉に」
そこに、その二人が入ってきた。
「明日の夕刻にはアルビオンへ出発するよ。部屋を取ったからゆっくり休んでくれ。ルイズは僕と同室だよ」
いくらなんでもこれにはかなりビックリした。サイトは「お父さんは許しませんよ!」と一言もの申したくなった。
「ちょっと待って!私たちまだ結婚してないのに…」
「ルイズ…」
ワルドはルイズの手の甲にキスした。
「大事な話があるんだ。一番上等で素敵な部屋を取ってある。二人きりになりたい…」
彼はルイズを連れて食堂を後にした。
「いいのダーリン?ルイズのこと…」
「だからそんなんじゃないって…」
キュルケの言葉にサイトは断固否定を通した。
「実は、彼には彼女がいるそうだよ」
「ええ!?」
「キュルケもかよ…たく…」
キュルケの反応にサイトはちょっぴり拗ねる。そんなサイトの様子を、キュルケは(やっぱりかわいい♪)と心の中で呟いていた。
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