ウルトラマンゼロ サーヴァント(完結)

□File5
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(ち、調子のいい奴…)
ルイズは少し呆れたように心の中で呟いてた反面、微妙にその時の
サイトの顔が凛々しく見え、少し見惚れてしまった。
すると、扉がひとりでに開いた。
「「!?」」
「誰だ!?」
侵入者か?それともアンリエッタを追ってきた者なのか?サイトは
とっさにデルフに手をつけた。
しかし、入って来たのは少なくとも怪しい人物ではなかった。
そこに入って来たのはなんと、ギーシュだったのだ。
「「ギーシュ!?」」
ギーシュだった。
「お話は全て聞かせていただきました」
ギーシュはアンリエッタに頭を下げて言った。
「聞くと言うか盗み聞きだったじゃない!」
ルイズが怒ったように強く言ったが、ギーシュは怯まず立ち上がり、
自分に任せてくれと言うようにバッ!と自分の胸を手で触れた。
「姫殿下。このギーシュ・ド・グラモンにもその任務、是非とも仰
せ付けください!」
「グラモン?まさかあのグラモン元帥の…」
「はい、息子にございます」
ギーシュの父親も、トリステイン貴族では名を馳せた人物である。
余談だが、息子同様女好きなのは別の話。
「お父様も勇敢で立派な貴族ですが、あなたもその血を受け継いで
いるのですね。この不幸な姫の力になってください。ギーシュさん」
アンリエッタは微笑んだ。ギーシュはその笑顔にメロメロになる。
「ああ…姫殿下が僕の名前を…」
(大丈夫かこいつ?)
ホワンホワン…となるギーシュを、サイトは呆れた表情で見た。
「では明日の朝アルビオンへ出発します」
「ウェールズ皇太子はニューカッスル付近に陣営を構えていると聞
いています。アルビオン貴族があなたたちの目的を知ったらあらゆ
る手を使って妨害しトリステインを危機に追い込むでしょう…しか
し…」
アンリエッタは顔が少し赤くなっていた。一体何を思っていたのだ
ろうか。
「姫様?」
「いえ、何でもありませんわ」
アンリエッタは手紙を胸に添えた。そして窓の外に向いた。
「始祖ブリミルよ。この自分勝手な姫をお許しください。自分の気
持ちに嘘をつくことはできないのです…」
(姫様…)
「ではルイズ。ウェールズ皇太子に会ったらこの手紙を渡してくだ
さい。すぐに例の手紙を返してくれるでしょう…それから…」
アンリエッタは自分の指にはめていた指輪をルイズに渡した。その指輪の宝珠はきれいな水の輝きをしている。
「母君から頂いた水のルビーです。せめてものお守りです。売って
旅の資金にしても構いません。その水のルビーがアルビオンの吹くき風からあなた方を守りますように…」
アンリエッタは夜の双月に祈り、その後は一人王宮へ戻って行った。

翌日の校門前。サイトは馬小屋から馬を引っ張っていた。「馬には慣れてないんだよな〜腰がおかしくなるから嫌なんだよ〜」
まだ走ってないのに腰を軽く叩くサイト。以前トリスタニアに来た
時は慣れない乗り物に腰を痛めたものだ。
「だらしないな。気合いをいれたまえよ」
「お前は入れすぎだろ…馬がかわいそうだ」
ギーシュの馬は薔薇で着飾られていた。派手すぎて引いた感じがし
てならない。
「そうだ。お願いがあるんだけど」
「あんだよ?」
「僕の使い魔を連れて行きたいんだが」
「使い魔?いたのか?」
「当たり前だろ」
「いいじゃない。連れていけば?」
ルイズも後から馬を引っ張ってきた。
「じゃあ紹介するよ。さあおいでヴェルダンデ!」
すると、地面から大きなもぐらが顔を出した。
「あんたの使い魔ってジャイアントモールだったの?」
「そうだよ。見たまえ!この愛らしく、つぶらな瞳を!」
ギュッ!とヴェルダンデを抱き締めるギーシュ。使い魔をかなり気
に入ってるようだ。それにしてもぶさいく、とサイトは密かに思っていた。
「ヴェルダンデ、いっぱいミミズを食べてきたかい?」
「モゲ!」
「そうかそうか!」
元気よく答えるヴェルダンデを、またギーシュは抱き締める。
「ギーシュ、実を言うとお前モテてないんじゃないか?」
「な、何を言い出すんだね君は!?」
サイトの言葉にギーシュは焦るように動揺した。サイトは、ギーシュの使い魔に対する過剰な愛を見て、彼女のいない悲しみを払おうとしているように見えたのだ。
「モンモンだっけ?その娘にフラれたし」
「ぐ、それは…って言うかモンモランシーだ!それに彼女とは寄りを戻したんだぞ!」
「え、嘘!?」
「そんなに驚くのかい!?」
正直サイトは、まさかギーシュがサイトとの決闘前で自分を振ったモンモランシーと寄りを戻したことは想像できなかったようだ。ギーシュはそれにちょっとショックを受けた。
「ダメよ。地面を掘って進む使い魔を連れて行くなんて。私たちはアルビオンに行くのよ」
そうルイズが言った時、ヴェルダンデはルイズの足に触ってきた。
「きゃ!ちょっとどこ触ってんのよ!」
「どうしたんだヴェルダンデ!?あっ、もしかして姫様の指輪…」
「指輪?」
ルイズはアンリエッタから受け取った水のルビーを取り出した。
ヴェルダンデはそれを見た瞬間、水のルビーをルイズから奪おうとした。
「こら!これは姫様の指輪なのよ!」
「あ〜、ヴェルダンデは宝石好きなんだよ」
「嫌なもぐらだな」
「嫌とか言わないでくれ。彼は鉱石や宝石を見つけてくれるんだ。
僕にとっては素敵な協力者なんだ」
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